本の表紙をクリックすると、
図書館検索システムにリンクします。
表紙画像は無断転載を禁じます。
個人のデザイン集や、ブックデザイナー自身がブックデザインについて語った著作を取り上げました。
『はじめてであう安野光雅』
安野光雅/ほか著 新潮社 2023年
淡い色調で透明感のある水彩画と、緻密で独創性あふれるタッチで知られる安野光雅。本書では、デビュー作『ふしぎなえ』に代表される言葉のない絵本、装幀のみを担当した本、童話屋の編集者による絵本誕生秘話などがオールカラーで紹介されています。掲載されているインタビューでは、「言葉の説明を仲立ちにして絵を理解しようとするのは違うと思う」と語っており、この姿勢が仕事に貫かれたことが分かります。全著作の装画も収録。
『装丁、あれこれ』
桂川潤/著 彩流社 2018年
装丁家・イラストレーターの桂川潤氏によるエッセイ集。工作舎やミシマ社といった出版社の仕事、祖父江慎、菊地信義、鈴木誠一などの著名な装丁家の作品、装丁の持つ批評性、電子書籍の台頭と紙の本の存続など、装丁家としての視点で世の中を眺めた文章がまとめられています。語り口はとても真摯で、彼の端正なブックデザインに相通じるとともに、物質としての本に対して深い信頼と愛情が伝わります。
『装幀余話』
菊地信義/著 作品社 2023年
1万5千冊以上の装幀を手がけ、日本のブックデザイン史に大きく名を残した菊地信義の、インタビューによる自伝と単行本未収録のエッセイ等をまとめたもの。主に装幀家として独立した1977年以降の作品についての解説や、表紙に使用する写真やイラストの選定、タイポグラフィーや素材へのこだわりについて語られています。初めての小説装幀での失敗談や、斜体フォントが生まれたきっかけなど、披露される裏話は読みごたえがあります。
『本が湧きだす 杉浦康平デザインの言葉 』
杉浦康平/著 工作舎 2022年
表紙だけではない、本の構造を生かすエディトリアル・デザイン、背や小口を活かすデザインなどの立体的アプローチは、大学で専攻した建築設計と通じるという杉浦。自然現象や人体、工学といった科学的知見と禅的・東洋的思想が融合した、宇宙を感じさせる彼のデザインアイデアが、どこから湧き出してくるのかが語られます。装丁家として60年以上活躍してきた彼の言葉の一つ一つに、ゆるぎない自信が感じられる本です。
『デザインの手本』
鈴木成一/著 グラフィック社 2015年
装丁を手掛けた本の多くがベストセラーとなり、現在もブックデザイナーとして最前線を走り続ける鈴木成一。1万冊以上に上る彼の装丁本の中から約250冊を選び、タイポグラフィ、表紙のイラストや写真、特殊加工用紙などのカテゴリに分け、デザインのコンセプトや作品で表現したかったことを自身で解説しています。掲載されている表紙写真が比較的大きい上にフルカラーのため、デザインの細部まで確認することができます。
『祖父江慎+コズフィッシュ 』
祖父江慎/著 パイインターナショナル 2016年
ブックデザイン界の第一人者・祖父江慎による、自身のブックデザイン集。台割りをイメージした目次から始まり、400ページにも及ぶ全てのページは、一つとして同じレイアウトを使用しないという、造本設計への彼のこだわりが感じられます。手がけた作家は数知れず、装丁から溢れる色彩からは彼のパワーが、一作ごとに付けられているコメントからは、楽しんでデザインしていることが強烈に伝わってきます。奥付ですら目が離せない一冊です。
『美しい書物』
栃折久美子/著 みすず書房 2011年
装幀家・栃折久美子が、自著『製本工房から』(1978年刊)と、『装丁ノート』(1987年刊行)を再編集したエッセイ集。「中身といっしょに、ほしくもない絵をいっしょに買わされてしまう、といった本は私はつくりたくありません」という彼女。 装丁を担当した作家との交流、本作りをする上でのこだわり、簡易な製本と大量印刷へ移り変わっていく造本への苦言など、プライドを持った仕事ぶりを、自戒も込めて丁寧に語ります。
『花森安治のデザイン』
花森安治/著 暮しの手帖社/編 暮しの手帖社 2011年
『暮しの手帖』を創刊し、66歳で亡くなるまで編集者を務めた花森安治。彼が手掛けた全153点の表紙原画に加えて、編集室で記事に合わせて即興で書いていたというカット、新聞広告の版下などを掲載しています。つまらない習慣や、流行に左右されない美意識を持つことを信条としていた花森の身近にあるものを題材にした温かみのあるデザインと、一切妥協しない手仕事に触れることができます。関連年譜と掲載目録を併録。
『本とはたらく』
矢萩多聞/著 河出書房新社 2022年
異色の装丁家・矢萩多聞の半生をふりかえる自伝的エッセイ。中学1年生で不登校、14歳で退学、19歳までの南インドと日本を往復する生活、独学で描いた絵の個展開催、知識もないのに引き受けた装丁の仕事、東日本大震災をきっかけに見直した生活の軸、果ては出版社の設立と、波乱万丈の人生が衝撃的です。決して効率を重視せず、人との繋がりを大切にし、人への想いを全力で形にしていく姿が、彼の飾り気のない言葉で語られます。