東野在住 50代女性 震災体験談(震災発生翌日〜現在)
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東野在住 50代女性 震災体験談(震災発生翌日〜現在)
PDF版
インタビューを書き起こした記録です。
コンテンツ番号 UT00000140
説明・要約
【震災当日】
●簡易トイレの代わりに猫砂を利用:一度は止まってしまった上水道も翌々日頃には使えるようになったのですが、下水道の配管に泥が詰まってしまい、一切水を流すことができなくなってしまいました。これでは断水も同様です。排水って大切なのだと改めて実感しました。自治会から簡易トイレが配られたのですが、数に限りがあります。それで近くのスーパーに買い足しに行ったのですが、そのとき「猫の排泄用に使う猫砂を使えばいいのでは」というアイデアがひらめきました。簡易トイレはほとんど品切れでしたが、猫砂を使用しようと考えた人はほとんどいなかったらしく、まだ在庫がかなり残っていたので、それをたくさん購入してきました。トイレにビニールを設置し、その上に猫砂を敷いて使っていました。震災用トイレはかなり高価ですし、これは本当に役に立ちました。
●約2週間後に下水道が復旧:家の周囲はめちゃくちゃでしたが10m先のエリアは被害を受けていないという状況でしたので、洗濯物はすぐ近くのコインランドリーへ持っていっていました。お風呂にもずっと入れませんでしたが、2、3日に一回ぐらいの割合で江戸川区の銭湯へ行っていました。浦安市民ということを証明すれば割引をしてくれたりもして、随分と助かりました。結局、下水道が使えるようになったのは、地震発生から2週間後くらいでしょうか。周囲の家庭はほぼ使えるようになってからも、まったく私の家はだめだったため、「このままでは大変だろう」ということで、近所の方がホームセンターで購入してきた道具で上手に泥を取り除いてくれたのです。もちろん市の下水道の係の方へは連絡がいっていましたが、当時は同じような工事がいたるところで必要とされていたため、誰もが順番待ちの状況だったのです。
●連日、泥を取り除く作業に追われる:震災翌日から、連日土砂を取り除く作業に追われました。家に何も道具がなかったのですが、自治会のスコップを借り、隣近所が一体となって作業にあたっていました。各自の家の庭に溜まった泥はもちろん、家の前の道路、留守にしている家や高齢者の家の前の道路や側溝などの作業も皆で行いましたね。土砂を掻き出して袋に詰め、公園へ運び出すのですが、その作業が1週間から10日ぐらい続きました。もちろん土のう袋が各家庭に何枚も配られたのですが、10枚や20枚ではまったく足りず、1件あたりに何百枚も必要なくらいでした。そこでしまいには、公園に持っていっては中身を出し、空にして使い回していました。
●震災を振り返って:震災を機に、それまで以上に備蓄などに気を配るようになりました。ペットボトルの水やトイレットペーパーは必須ですし、無洗米やお餅なども常備しています。また、カセットコンロやボンベなども買い揃えました。石油ストーブもありましたが、夏だと灯油が変質していて使えませんし……。震災に遭って唯一よかったことと言えば、近所の人たちとのコミュニケーションが広がったことです。以前はあいさつする程度の関係だった人たちとも随分親しくなりました。これは、震災がもたらしてくれた恩恵だと思っています。震災によって町全体の絆が深まり、それまで以上に成熟した町へと変わるのではないかなと期待しています。