入船在住 60代男性 震災体験談(震災当日の出来事)
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入船在住 60代男性 震災体験談(震災当日の出来事)
PDF版
インタビューを書き起こした記録です。
コンテンツ番号 UT00000024
説明・要約
●水道の復旧まで 電気とガスは使えたので、水道だけが問題でした。しかし以前から防災対策のひとつとし て 20L のポリタンクに水道水を貯めていたのですぐに困るということはありませんでした。 地震当日に帰宅できなくなった妻の友人を泊めて差し上げたのですが、その方にも水があ るだけで感謝され、嬉しく感じました。
しかし 20L とはいえ長くは持ちません。そこで給水所に指定された小学校に何度か水をも らいに行きました。給水車の前で順番待ちをしていると 2 回ほど目の前で水がなくなった ことがあり、しかもそのあとの給水車はいつになるかわからないと言われました。これは とてもショックでしたね……。
その後、団地の友人からの情報で「水が出る水道がいくつかあるらしい」と聞き、そこに 汲みに行くようになりました。場所によっては行列した水道もあったらしいですが私の行 った場所は穴場らしく、そんなに並ばなくても水を汲めたのでとても助かりました。水道 が復旧するまで一週間ぐらい、1 日 1 回水を汲みに行っていました。
●震災後に困ったこと 一番は土埃です。震災後、液状化によって吹き出した泥水が乾き道路や歩道を覆いました。 それが車が通ったり、風が吹くと舞い上がり歩くのが辛かったです。特に新浦安駅前はひ どかったのを覚えています。
他には、計画停電が始まったときにテレビで情報を集められないのでラジオを聴こうと思 ったんです。しかしあまり使う機会がなかったので、電池が切れていたんです。そこで買 いに行ったのですが、どこも品薄で買うのに苦労しました。きっと皆さん同じことを考え た為の結果だと思うのですが、それからは電池もストックするようになりましたね。
あとは直接私が困ったのではないのですが、団地の改修の時は住民の意見が割れ大変だっ たようです。もともと段差が少なくバリアフリーのような構造が特徴だったのですが、液 状化により歩道と建物の間に段差ができてしまいました。そこでその段差に階段をつけ人 が通れるようにしたんです。しかし「もともと段差がなかったのに階段にするなんておか しい」という声も上がり、管理組合役員の方々は苦労されたみたいです。それでも、団地 周辺建物が 1 年以上かかった改修が、43 カ月ほどで終わったのは、管理組合の尽力のお かげだと思います
●「やっていてよかった防災対策」と「あって役に立ったもの」 「やっていてよかった対策」のまずひとつ目は、やはり水です。先にも言いましたが以前 から 20L のポリタンクに水を貯めていました。ただ貯めようと思っても、続かなかったり、 入れ替えを忘れたりします。そこで私は、植物に水をあげたり、金魚の水槽の水の取り換 えのサイクルに合わせ、1 月に 1 回以上、水を入れ替えていました。
ふたつ目は耐震対策です。棚の上にはつっぱり棒を、つっぱり棒が入らないところは天井 との隙間に楔を打っていました。そのおかげで今回棚などは一切倒れることがありません でした。
そして「あって役に立ったもの」はやっぱり 20L のポリタンクとキャリーカートです。水 をもらいに行った際に、周りを見てみると 2 L のペットボトルを何本も持ってきている方 がいました。2 L のペットボトルだと本数が増えるにつれ持ちにくくなります。本数が少 なければ持ち運びしやすいですが、すぐ水がなくなってしまい 1 日に何度も水を汲みに行 かなければなりません。それにくらべて 20 L のポリタンクは、1 日一回汲みに行けば大人 ふたりが 1 日使う分を十分にまかなえます。ただ 20 L の重さを持ち上げるのは容易では ありません。そこで役に立つのがキャリーカートです。これがあれば満水のポリタンクを 楽に運ぶことができます。この二つがあったからこそ、約 1 週間続いた毎日の水汲みも、 さほど苦労することなく行うことができました。