入船在住 60代男性 震災体験談(震災発生翌日〜現在)
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入船在住 60代男性 震災体験談(震災発生翌日〜現在)
PDF版
インタビューを書き起こした記録です。
コンテンツ番号 UT00000082
説明・要約
【震災発生翌日〜現在】
●翌朝から自治会で復旧作業 翌朝は 7 時に自治会長を呼び出し、入船リバーサイド自治会のメンバーを全員集めて臨時 会議を開きました。まずは人員点呼と仮設トイレの設置法などを説明。それからベニヤ板 で伝言板を設置しました。エリアの状況や給水所の情報などをそれでメンバー間で共有します。
9 時頃から住民総出で団地内の泥かきを行い、なんとか人が通れるようにしました。うちの 団地は 70 世帯あるんですが、ガスは一部のエリアで、上下水は完全にダウンしていました。 その翌日には自衛隊の給水車が習志野から来てくれました。入船南小の給水所には毎日朝 から給水車がいますから水が足りなくて困ったという事はありません。ただ、震災の翌日 に作った仮設トイレのにおいがひどくて、女性はやはり敬遠してしまうんですよね。そう して震災 1 週間くらいは住民が団結して動きました。
●家の修理をめぐるトラブルが起きた 自治会で災害復興委員会を作り、私が初代の委員長に就任しました。70 軒をジャッキアッ プして修復する案を出したところ、家を建て替えたいという住民と半々に分かれてしまっ てね。それまで手を取り合っていた彼らが急に対立してしまったんです。私も悪口をさん ざん言われましたね。
対立している住民の間では、嫌がらせなども度々ありましたね。でも今になって考えると 彼らの心情もよく分かるんです。それぞれ人生設計があるのに、あの震災で人生の選択を 迫られたわけですから。
外壁を直してジャッキアップすると 1 軒あたり 220 万円くらい。それが 70 軒分。団地内の 下水管や舗装も直してさらに 1 億くらい。住民のいろいろな心情なんかを考慮しながら話 し合いを進めて行って、70 軒を修復する案で全員が合意できたのが 2014 年 4 月です
●傷ついた人の心を癒すことが先決と思う 災害が起きて家や道路が壊れます。そういったハード面の修復にはすぐ着手できるのです が、実は住民の心も壊れてしまっている事を見てあげないといけません。人の心ってのは、 なかなか修復するのが難しいですから。東北地方を見ているとなおさらです。 たとえば年金暮らしの方に公営住宅があてがわれても、わずかな年金のなかから家賃の負 担が起きてくる。災害時の一番の悲劇とは、力ない人たちがもっと力を失ってしまうこと ですよね。地震保険に入っているか否かでその後の負担も変わってきます。お金だけでは ないけど、心の中にずっとしこりが残ってしまうものですよ。震災直後に助け合っていた 住民同士がそんな理由で対立を始めてしまう。総理にも手紙を送ったこともありましたけ ど、やっぱり災害時は人の心をケアすることが最優先だと思います。