富岡在住 60代女性 震災体験談(震災発生翌日〜現在)
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富岡在住 60代女性 震災体験談(震災発生翌日〜現在)
PDF版
インタビューを書き起こした記録です。
コンテンツ番号 UT00000106
説明・要約
【震災発生翌日〜現在】
●液状化現象で庭が泥だらけに 翌日から 2、3 日は、庭に溜まってしまった泥を取り除く作業に必死でした。泥を片づける ために娘の彼が手伝いにきてくれまして、随分と助かりました。泥を掻き出して、砂袋に 入れていくのですが、とりあえずは庭の隅にまとめておき、主人が帰宅してから一緒に片 づけましたね。
隣の家は公園から噴き出してきた泥水が流れ込んでしまい、ものすごい状況でした。それ に比べると我が家はまだましだったのですが、それでも大変でしたね。室内機を設置して あるブロックぎりぎりまで泥がきてしまっていて、もしそれ以上泥水が上がってきてしま っていたら……と考えるとぞっとします。
●水と簡易トイレが役立つ 庭の散水用の水道からチョロチョロ出ていたので、断水になってからもあまり困りません でした。いざというときのためにと思い、貯蓄してあった水も随分と役立ちました。実は、 以前から飲料水として温泉水を取り寄せていたのですが、その空きのペットボトルをその まま捨てるのももったいないと思っていたのですね。そんな話を友人としていたら、置く 場所があるのであれば、いざというときのためにとっておいたほうがいいと言われ、2 リッ トルサイズのペットボトルですが、その中に水を入れて 30 本近くズラッと庭に並べてあっ たのです。それがトイレの水を流したりするのに、とても役に立ちました。
最初の頃は、トイレはペットボトルの水を流せばよかったのですが、しばらくしてからト イレを使うと逆流してくるという噂が流れ、排水は一切できなくなりました。一緒に住ん でいた娘はしばらくの間、一人暮らしをしている妹のところへ居候させてもらっていたの で、震災直後は私たち夫婦ふたりきりでした。それで私は上のトイレ、主人は下のトイレ というように決め、簡易トイレを便器にセットして、自分が使ったら処理するようにして いました。そんなことが 1 週間ぐらいは続いたかと記憶しています。
●排水することができなければ、ほかが復旧しても無意味 下水に水を流してはいけないということで、お風呂にも入れません。水が流せないので、 食糧があったとしてもお料理はほとんどできませんでした。何日かはお風呂に入れなくて も平気だったのですが、しばらくして「気持ち悪いね」ってことで、主人と隣町の公衆浴 場へ行きました。たくさんの人が押しかけてきているかな……、という懸念もあったので すが、運よく中に入れました。ところが中へ入ってみると、ものすごい数の人で、皆洗う 番を裸のまま列になって待っている状態でした。ご近所の方たちにも何人か会いましたね。排水がダメだったら、水が出てもガスが使えるようになっても、結局は何の意味もないと いうことを実感しました。普段は意識していませんでしたが、排水とは本当に大切なライ フラインの一部なのですね。
●正確な情報を迅に伝えていくことが今後の大きな課題 以前から食料品にしても簡易トイレにしても、常に備えていたのですが、やはり震災を経 験して、それが正解だったということがわかりました。ただ、情報収集の方法については 今後の大きな課題かと思っています。
当時、さまざまな噂も飛び交っていたのですが、何を信じたらよいのかわからない状況で した。今思うと、排水はダメと言われても、もしかしたら使えたのかもしれません。ネッ トなどで調べたりしてもさまざまな情報が行き交っていて、何が真実なのかさえわかりま せんでした。こういった事態のときに、いかに住民たちに迅に正確な情報を伝えていくか。市の広報なのかもしれませんし、各会社なのかもしれません。混乱を避けるためにも、迅速な情報伝達がとても大切だと感じました