東野在住 70代女性 震災体験談(震災発生翌日〜現在)
浦安市における東日本大震災の記録コンテンツのご利用について(利用規約)
東野在住 70代女性 震災体験談(震災発生翌日〜現在)
PDF版
インタビューを書き起こした記録です。
コンテンツ番号 UT00000146
説明・要約
【震災発生翌日〜現在】
●断水のため、毎日水汲み作業が続く
断水は5日間ぐらい、いやもっと長い間かもしれません。2、3週間は続きました。ホテルのお風呂を2回、東京の友達のところへも2回ほど、お風呂へは3日おきぐらいに行っていましたから、おそらく2〜3週間は続いたと思います。電気は大丈夫でしたが、ガスは使えませんでした。
残り湯が浴槽に溜まっていたので、幸いトイレを流す水には困りませんでした。ただ飲み水は毎日近くの緑道まで汲みに行かなくてはなりませんでした。いつも長蛇の列ができていますし、料理用の水と飲み水の両方が必要でしたから、ポリタンクもかなりの重さでとても大変だったのを覚えています。
●震災という状況化では、さまざまな人間性が見えてくる
震災翌日からしばらくの間は、液状化で溢れ出した泥を取り除く作業に追われました。水を含んでいるため、単なる泥とは話が違います。スコップでかき集めては袋へ入れ、それをリヤカーに積んで公園まで運ぶという作業を延々としていたのですが、あれは本当に大変な作業でした。
まずは自分の家ですが、目の前の道路や隣近所も気になります。各自の家を終えると、皆で一緒になって公共の場所を片づけていました。あのような状況のときには、本当に人間性が露わになります。80 歳過ぎの年配の女性が「私は昔、農業をやっていたからこういうことには慣れているのだよ」と言って、スコップで掻き出す作業を一生懸命にしてくれました。
その一方でまったく姿は現さずに、「家の前に泥の袋を置かないでください」と家の中から マイクロフォンで怒鳴る人もいました。新興住宅地ですので、近所の方たちとの付き合いが普段からあるというわけではありませんが、あのような状況になって初めてさまざまな人間性に触れたような気がします。
●自然信仰について考えさせられる機会に
震災を体験して、改めて納得したことがあります。それは、なぜ日本には昔から自然信仰というものがあったのかということです。地中海のような穏やかな土地とは違って、日本は自然災害の多い国です。そんな状況下で生きていくためにも、自然を神として称え、どんなにひどい災害があってもそれを乗り越えていく必要があったのだと思います。
恐怖心を抱いているだけでは暮らしていかれない。だからこそ自然信仰というものが生ま れ、今日までもどこか人々の心の中に生き続いているのかな……ということを深く考えさせられました。