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地域資料で調べよう!さがそう 浦安の成り立ちと歴史 〜「堀江ねこざね」からわかること(第2回)

<全4回>地域資料で調べてみよう! 「浦安の成り立ちと歴史」(第2回)

*図書は『』、地図や版画は<>、図書に収録されている項目や見出しは「」、引用部分は で表示しています。

今回は、地域資料だけでなく、インターネットで公開されている絵図と版画を使用しています。使用する画像は、国立公文書館デジタルアーカイブの[デジタル画像等の二次利用について]と国立国会図書館イメージバンクの[電子展示会利用規約]に基づいて、掲載しています。

*文中の『』で表示されている図書のリストは、こちらからご覧いただけます。→この連載で使用する参考図書リスト→<参考図書リスト>

〜第2回 絵図でさがす浦安〜

 前回(第1回)は、図書館の本を使って、古代から中世までの浦安の姿を調べ、浦安は、昔から幾度も水害に苦しめられてきたことがわかりました。今回は、江戸時代に描かれた絵図を使って、江戸時代当時の浦安の姿を見てみます。

葛西筋御場絵図 堀江、猫実付近

<葛西筋御場絵図堀江猫実付近>国立公文書館 デジタルアーカイブより(切抜き加工しています)

 第1回で閲覧した『幕末明治大地図帳』より、さらに古い江戸時代の地図がないか、国立公文書館デジタルアーカイブで「重要文化財 国絵図等」から探したところ、<江戸近郊御場絵図>の<葛西筋御場絵図>が見つかりました。

 弘治年間(1555〜1558年)に津波のため、住民が中央区堀江町(現在の東京都中央区小舟町)に移住したことを第1回で紹介しました。それから、60年ほど経った頃、『浦安物語』p.177によると、元和6年(1620年)、田中内匠と狩野浄天という二人が、徳川幕府の許可を受けて、現在の鎌ケ谷市囃水(はやしみず)付近の湧き水を当代島まで引くことができるように、行徳を通り、当代島の船圦川(ふないりがわ 現在は船圦緑道)まで、水路を造りました。この用水路は、内匠堀(たくみぼり)と呼ばれ、長い間、人々の暮らしを支え、使われていました。この内匠堀は、<葛西筋御場絵図>で見ると、行徳方面から、ほぼ直線で当代島の船圦川まで続いていることがわかります。

この頃、江戸幕府により武蔵国と下総国の国境(くにざかい)が当時の隅田川から、東方の太日河(ふといがわ)(現、江戸川)へと移り、名称も江戸川へと変わりました。そして、『浦安町誌 上』p.4に、猫実村は徳川幕府の直轄地となった。と、あります。これは、塩作りを奨励、保護することや幕府の御鷹場とするため、行徳領を幕府直轄としたようです。

<葛西筋御場絵図>には、當代島(当代島)、猫実、堀江の地名のほか、神明や大林寺の寺社名を見ることができます。また、江戸川の上流、柴又のあたりに、江戸川中央武蔵国下総国国境の文字を読むことができます。

当館では、<江戸近郊御場絵図>を閲覧することができる資料は、残念ながら所蔵していませんが、インターネットの国立公文書館デジタルアーカイブで、どなたでも閲覧することができます。

当時を知ることができる資料のひとつに当館所蔵の『江戸近郊道しるべ 現代語訳』があります。この本は、天保5年(1834年)に清水徳川家の御広敷用人、村尾嘉陵(むらお かりょう)(没年1841年)によって書かれた紀行です。p.222に収録されている「真間の道芝」には、市川へ行くために、江戸と行徳の間で船を使った日帰り旅行の様子が書かれています。

そこには、東郊の葛飾や真間の辺りへ行こうと、くづれ橋(崩橋や箱崎橋とも。中央区日本橋小網町と日本橋箱崎町との間に架かっていた橋で現在、首都高下に跡が残る)の手前にある行徳舟の舟出所(日本橋小網町の行徳河岸)を指して行くとあります。第1回で探した、中央区堀江町に近い場所です。当時、浦安・行徳一帯は、海産物と塩の重要な産地として江戸との間を水運でつないでいましたが、それだけでなく、人々の移住による結びつきも、あったかもしれません。

行程は、午前6時頃に現在の中央区九段2丁目の自宅を出て、午前10時頃、行徳に着いた、とあります。実に、片道4時間におよびました。九段から小網町まで、徒歩で約1時間かかります。休憩や舟の待合などに20分程度かかるとすると、舟にのっているのは、2時間半位でしょうか。この頃は、日本橋の行徳河岸から家康の命令で造られた小名木川、新川、江戸川を通り、行徳へ向かうルートが使われたようで、『隅田川をめぐる文化と産業』のp.38やp.46にわかりやすく書かれています。

今回は、図書館の資料だけではなく、国立文書館デジタルアーカイブ(Webサイト)で閲覧できる絵図を用いて、調べてみました。また、『江戸近郊道しるべ 現代語訳』を読むと、江戸時代の行徳の繁栄を感じることができました。次回は、江戸時代の浮世絵画家、安藤広重の版画、「堀江ねこざね」の謎に迫ります。

第2回 掲載:令和6年2月11日

次回掲載は、令和6年3月初旬を予定しています。

第1回 「古代から中世」は、こちらから

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