浦安市立図書館


文学が紡ぐ昭和の記憶

  令和7年(2025年)は、昭和元年(1926年)から数えて100年の節目を迎える年です。昭和時代に人々は、世界恐慌や、未曾有の被害をもたらした太平洋戦争を経験しましたが、 敗戦による焦土からの奇跡的な復興を果たしました。やがて高度経済成長期には、人々の暮らしは目覚ましく豊かになり、社会は大きく変貌を遂げました。

  さらに情報化社会の到来やグローバル社会の兆しが見え始め、その後、バブル経済へ向かうなど、人々の価値観が多様に変化していった64年間は、まさに「激動」と呼ぶにふさわしい時代でした。

  文学は、歴史書や統計データだけでは伝えきれない、当時の人々の感情、考え方、日々の風景が鮮やかに描かれます。それは、時代を映す鏡のようなものとも言えます。激しい変化の波に揉まれながらも、懸命に生き抜いた人々の息遣いや、彼らが抱いた希望、あるいは苦悩の様を、私たちは作品の行間から感じ取ることができます。文学作品を通して、昭和という時代の多面的な「世相」と、そこで暮らした人々のありのままの「生活」を浮かび上がらせることができるでしょう。

  本展示では、「戦前・戦中・戦後の混乱と再生」、「高度経済成長と変貌する暮らし」、「多様化する価値観と新しい時代へ」の3つのテーマを設け、 それぞれに合う文学作品を選びました。展示されている文学作品は、作家が自身の目で見て、心で感じ、言葉を紡ぎ出した昭和の記録です。 「昭和」を知らない方にも懐かしさを感じる方にも、激動の時代を乗り越え、現代社会へと繋がる土台を築いた先人たちの営みに思いを馳せるきっかけになれば幸いです。



2025年9月 蔵書構成検討委員会 語学・文学分野




特集
Copyright (C) 2025 浦安市立中央図書館