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日本昔話百選 改訂新版
稲田浩二・稲田和子/編著 丸木位里・丸木俊/絵
三省堂 2003年
全国各地から聞き集めた昔話を、北国(北海道と東北)、中の国(関東、中部、近畿)、西国(中国、四国、九州)に分けて百話収められています。わかりやすい共通語に近づけながらも、会話文にはその土地の方言が活かされています。初版は1971年。改訂新版では数話を差し替えたほか、より原話に忠実に補訂されています。

日本の昔話(全五巻)
おざわとしお/再話 赤羽末吉/画 福音館書店 1995年
代表的な日本の昔話から、沖縄やアイヌ固有の昔話まで、シリーズ合わせて301話が入っています。語り継がれてきた昔話本来の形を損なうことなく、誰もが楽しめる共通語で再話していますので、読むだけでなく、声に出して子どもに語ってあげるのにもおすすめです。全五巻のうち、第一巻「はなさかじい」は正月から春の昔話を集めています。

日本のむかしばなし
瀬田貞二/文 瀬川康男・梶山俊夫/絵 のら書店 1998年
日本各地で語り継がれた昔話のうち、「花さかじい」「ねずみのすもう」など、幼い子どもも楽しめる、明るい内容のおはなしを13話収録しています。会話に土地ことば(方言)を残しながら、文章は標準語に近く、小さい子にも分かりやすいよう工夫されています。二人の画家による美しい絵もおすすめです。

うまかたやまんば
おざわとしお/再話 赤羽末吉/画 福音館書店 1988年
浜でどっさり魚を仕入れたうまかたが峠に差しかかると、やまんばに出くわしました。やまんばは魚や馬、そしてうまかたまで食べようと追いかけてきます。その様子が絵本の、左から右へと疾走感を持って描かれており、うまかたが敵討ちをする結末は痛快です。宮城県登米郡に伝わる民話を再話したものです。

かさじぞう
瀬田貞二/再話 赤羽末吉/画 福音館書店 1966年
大晦日に、びんぼうなじいさんは、正月のもちを買いに笠を売りに行きましたが、一つも売れません。帰り道、吹雪にさらされた地蔵様たちを見つけると、持っていた笠を被せてあげました。国際アンデルセン賞を受賞し、多くの昔話絵本を手掛けた画家が、雪国に通って取材したスケッチを基に描いた最初の絵本です。

かにむかし
木下順二/文 清水崑/絵 岩波書店 1959年
かには大事に育てた柿をさるに横取りされ、実を投げつけられて死んでしまいます。子がにたちは栗、蜂、牛の糞、石臼とともに、さるの元へ仇討ちに向かいます。劇作家の木下順二が佐渡の昔話を元に再話しました。躍動感のあるお話が、方言の味わいを生かしたリズミカルな言葉で書かれており、愛嬌のある墨絵が魅力的な絵本です。

くわずにょうぼう
稲田和子/再話 赤羽末吉/画 福音館書店 1980年
欲張りの男が、飯も食べずによく働く女房をもらいました。ところがある日、男は蔵の米がごっそり減っていることに気づきます。男が隠れていると、女房の頭に大きな口が現れ、にぎりめしを次々と食べ始めました。「ぴたぴたぴた」などの擬音や、迫力のある絵が印象的です。

つるにょうぼう
矢川澄子/再話 赤羽末吉/画 福音館書店 1979年
つばさに矢を受けた一羽の鶴を介抱した男の元へ、女房にしてほしいと美しい娘がやってきました。生活に困った時、娘は男とある約束をして、美しい織物を織りました。洗練された文章と、和紙を使って描かれた幻想的な雪景色の絵が心に残る昔話絵本です。

なんげえはなしっこしかへがな
北彰介/文 太田大八/絵 BL出版 2018年
著者が小さい頃、祖母から聞いた「果てなし話」をもとにした7つのお話を収録しています。果てなし話とは同じ言葉を繰り返す昔話で、何度もお話をせがむ子どもを飽きさせるのが狙いでした。お話は著者の故郷のことばである津軽弁で語られており、言葉の響きを味わいながら読むと、より一層楽しめる1冊です。

にぎりめしごろごろ
小林輝子/再話 赤羽末吉/画 福音館書店 1994年
きこりのおじいさんがにぎりめしを食べようとすると、にぎりめしは地蔵さまのところへ転がって行きました。おじいさんはきれいな部分を地蔵さまに供え、鬼たちの宴会を教えてもらい、宝物を手に入れました。良いおじいさんと欲深いおじいさんの対比が面白い、いわゆる隣の爺型昔話です。ユーモアのある絵が、お話に温かみを与えています。

ひまなこなべ
萱野茂/文 どいかや/絵 あすなろ書房 2016年
くまの神がアイヌの家にお客になって行くと、人々は感謝を込めて、歌や踊りでもてなします。ある宴で、くまの神は、とびきり踊りが上手な若者に出会いました。くまの神は若者が忘れられず、何度もお客になります。アイヌに伝わる熊送り(イオマンテ)の儀礼が親しみのある絵で描かれ、アイヌの人々の信仰心が伝わってくる絵本です。

ふしぎなたいこ
石井桃子/ぶん 清水崑/え 岩波書店 1953年
げんごろうさんのたいこは、たたくと鼻が高くなったり低くなったりする不思議なたいこです。ある時、げんごろうさんは鼻がどこまで伸びるか試してみたくなりました。
「岩波の子どもの本」の編集者だった石井桃子が初めて再話した昔話。琵琶湖に生息する「ゲンゴロウブナ」の由来譚です。墨で描かれた絵からは、日本の古き良き風景と懐かしさが伝わってきます。ほかに、二つのお話が入っています。

ふるやのもり
瀬田貞二/再話 田島征三/絵 福音館書店 1969年
雨の晩、泥棒とおおかみがじいさんとばあさんの家に忍び込みました。家の子馬を狙っていると、じいさんたちはこの世で一番怖いものは「ふるやのもり」だと話し始めます。素朴でありながら迫力がある絵で描かれ、「ふるやのもり」という言葉からの想像や、猿の顔が赤い由来など、昔話の面白さが詰まった絵本です。

まのいいりょうし
瀬田貞二/再話 赤羽末吉/画 福音館書店 1975年
猟師は狩りに行こうとして、鉄砲を取り落とし、筒が曲がってしまいました。息子が「げんが悪い」と引き留めるのにもかまわず出かけると、1発の弾が12羽の鴨すべてに命中し、さらに、鯉、ウサギ、雉と、次々獲物が捕まります。赤羽末吉の描く豪快で温かみのある絵と、瀬田貞二によるリズミカルな文章が楽しい1冊です。

ももたろう
松居直/文 赤羽末吉/画 福音館書店 1965年
川を流れてきた桃から生まれたももたろうは、きびだんごを腰に下げ、犬、猿、雉をお供に鬼退治に向かいます。赤羽末吉は、それまで鎧を着させられていたももたろうを庶民的な姿に描き、福音館初代編集長である松居直は、人々に親しまれ、各地で語り伝えられてきた「ももたろう」を読み比べ、子どもたちへ伝承するにふさわしい物語絵本として再話しました。