浦安市立図書館

図書館員が選んだ日本の画家の紹介

図書館員が選んだ日本の画家の紹介です。


画像:鴨居玲画集

鴨居玲画集

鴨居玲/画 日動出版部 2000年

昭和期に活躍した洋画家、鴨居玲。41歳の時に「静止した刻」で安井賞を受賞。その後は幾度の個展を開き、画家として成功しているように見えたが、晩年は二晩三日の茶番劇と呼ばれたように自殺未遂を繰り返す。その時期の心の内面が表れている作品は衝撃を受けるものが多い。本書は、カラー作品の他に作品目録、年譜、展示会出品記録、文献目録が掲載されている。 鴨居玲とはどんな人物であったのか?作品集と併せて、昨年の没後30年に出版された『鴨居玲死を見つめる男』(長谷川智恵子/著 講談社)も併せて読んでほしい。

画像:もっと知りたい田中一村

もっと知りたい田中一村 生涯と作品(アート・ビギナーズ・コレクション) 

 大矢鞆音/著  東京美術 2010年

今から30年以上前にテレビ番組でとりあげられ、一躍注目されるようになった田中一村。 50歳を過ぎてから、奄美大島に移り住み、自然と向き合い独特の翳りのある作品を残した。 若い時には「神童」とよばれ、将来を嘱望されながらも、なぜ生涯にわたり中央画壇には受け入れられず、一線を画したのかと、疑問がうかぶだろう。 カラー図版が美しい、『田中一村作品集』(NHK出版)もあわせて読んでほしい。

画像:熊谷守一

熊谷守一 −気ままに絵のみち− 

平凡社 2005年

熊谷守一の油彩画は、写生旅行に持って行く絵の具箱の大きさに合わせてどれも小さく、描いている題材は猫や蟻、植物など身近なものである。しかし、守一によって描かれたその“普通のもの”の描写は見るものを捉えて離さない。超俗の人、仙人と称されることもあるが、自叙伝『へたも絵のうち』(平凡社ライブラリー)の中で、「大好きなのは小さな子供と、鳥と虫」と話している。自然を愛した画家は、身の回りのものを丹念に観察し、平塗りの技法、太い輪郭線、シンプルな色彩といった特徴のある作品を残した。 守一の作品は、旧居に建てられた豊島区立熊谷守一美術館で見ることができる。次女、熊谷さんの作品解説も味わい深い。

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