浦安市立図書館

図書館報・図書館概要

館報

浦安市立図書館報 第99号(令和7年3月更新)

特集 クリエイターへの第一歩!ファブスペース紹介



3.アイデア出し〜設計〜製作 - 実際にモノを作ってみる

「こういうものが作れます!」と言われても、では自分で何を作るか…?というアイデアを出すまでが難しいところ。そこで、実際にモノを作るまでの過程を紹介します。今回は、「図書館に置く申込書立てを 作ってみる」というテーマで、実際に製作に取り組んでみました。

@アイデア出し

図書館にあるものの中で、レファレンス室にある「図書館資料複写申込書置き」に注目してみました。サイズが合わないし、ペンも置けないし、資料に挟み込むしおりを置いておく場所もなくて不便だな… と思っていたので、この悩みを全て解決するものを作ってみることにします。
最初は3Dプリンタで全てを作ることも考えましたが、時間がかかりすぎるので現実的ではありません。本体ケースはアクリル板で作ることに決めましたが、奥行きを考えると自立が難しいとわかりました。 「ケースを支える足をどう付けるか・・・」
その時!「ペン立てとしおり立ての付いた土台(足)を3Dプリンタで作って、ケースを支えたらどうだろう」とアイデアが閃きました。

ラフスケッチ

アイデア出しをしている時のメモ 最初の案から随分様変わりしました

A設計

今回はレーザーカッターで切り出すための設計図を作ってくれる無料のWebサービスを利用して、ケースの部品を作ることにしました。
最初に、ケース本体の寸法を決めます。申込書の大きさを測り、紙が倒れないような幅、高さ、奥行きを決めて、設計図を作成します。
レーザーカッターは、当てるレーザー光の強さによって、切ったり彫ったりできます。光の強さは、図面に使われている色によって変えることができ、例えば青は切断、黒は彫刻、というように調整できます。設計図をファブスペースのパソコンにダウンロードして、Illustratorというソフトで色を編集します。また、本体前面に資料複写申込書と彫刻を入れたいので、文字を足しました。

Illustratorの写真

ペンとしおりを立てる部品は、3Dモデリングのソフトを使って設計します。曲線をたくさんつけたり、複雑な装飾を作ったりするのは大変ですが、シンプルな形状のものであれば、「平面上に長方形を描く→縦に伸ばして立方体にする」という操作の繰り返しで比較的簡単に作成することが出来ます。今回の部品も、本体とピッタリかみ合うようにしたうえで、簡単な形に設計しました。

Fusionの写真

B製作

データが出来たら、実際に製作に移ります。まずは本体のケース部分の切り出しです。透明なアクリル板を使用し、レーザーカッターで切り出します。実際に切り出したものを組み立ててみると…確かにかみ合うけど、なんだか少し緩い? 切断した際に、想定していたよりもわずかに小さな寸法になってしまったようです。これでは、フロアに出しておくのは厳しいぞ、ということで修正に入ります。

レーザーカッターで切断中

切り出しをしている最中 火花も煙も出ます

Illustratorを使うと微調整が出来るので、一部パーツのかみ合わせ部分の幅の寸法を、元のデータよりも0.3mmだけ大きくします。そして、再度アクリル板から切り出し、組み立ててみると…がっちり噛み合いました! トライ&エラーは大事。自分で設計してうまくいくと、喜びもひとしおです。

ケース

次に、3Dプリンタでペン立てとしおり立てを出力します。3Dモデリングのソフトで作成したデータは、FlashPrintというソフトで、3Dプリンタに出力できる形に変換します。下から上へ形を作っていく関係で、長く橋渡しをするようなデータを出力することは難しいです。そのため、モデルを回転させて、無理なく出力できるようにしたり、サポート材と呼ばれる支えを追加したりします。今回は、まっすぐ上を向くようにすることで、サポート材を付けることなく出力できるようにしました。

FlashPrint

3Dプリンタ用にデータを変換する作業

レーザーカッターで切断している様子 3Dプリンタ失敗例

支えの追加や向きの調整をしないと、出力時に形が崩れてしまいます

スイッチを入れて、数時間待つと、きちんと形になりました! が、ペンを入れてみると穴が深すぎるし、しおりを入れてみると穴が浅すぎる…。そこで、ペン立ては穴の底上げをし、しおり立ては筒の高さを増やす形で修正し、再度出力しなおしました。すでに完成していた本体と組み合わせてみると…これもピッタリ!

3Dプリント中 矢印 3Dプリント中

ペン立てが徐々に出てきます

組み立て前

これが

完成

こう

ということで、完成品がこちらになります。Webサービスの力も借りましたが、自分の頭の中のアイデアを、自分で設計して、それが目の前に形を持って現れたのを見ると、達成感がとても大きかったです。
今回は実用性を求めて作りましたが、好きな写真を印刷して、穴を開けてキーホルダーにするだけでもとても楽しいですよ!

配置図

レファレンス室の図書館資料複写申込書記入台に置いてあります。ぜひご覧ください!


Copyright (C) 2025 浦安市立中央図書館