浦安市立図書館

加古里子〜子どもの遊び・子どもの科学〜

『だるまちゃんとてんぐちゃん』や『からすのパンやさん』など、忘れがたい絵本を数多く作り出した絵本作家・加古里子(かこ・さとし)。

 東京大学工学部を出て、民間の研究所で働いていた加古は、「こどものとも」編集者・松居直との運命的な出会いをきっかけに、子どものための科学絵本を手がけるようになりました。加古が目指した科学絵本は、単なる知識ではなく、物事を総合的・多元的にとらえるための思想そのものを描くというものでした。その緻密に計算された構図と構成により描かれた世界は、絵本としての魅力と科学の楽しさを存分に兼ね備えています。

 一方で、子供会活動との関わりを通して、子どもの遊びについて深い関心を寄せていた加古は、日本の子どもたちの伝統的な遊びについての研究も深めていきました。遊びが子どもの成長に欠かせないものであるという揺るぎない確信があるからこそ、加古の描く子どもたちは、どの場面でも生き生きとした活力にあふれているのでしょう。

 知識を植え付けるためだけの本が増えている昨今、科学的なものの見方を示し、知識や不思議を追求することの喜びを見せてくれる加古里子の絵本は、深い感銘を与えてくれます。子どもたちと共にあらためて手に取って、その世界をたっぷりとお楽しみください。

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