「働く」を考える
『仕事ってなんだろう』
矢崎節夫ほか/著 佼成出版社 2007
絵本作家の五味太郎や「グレートジャーニー」の探検家である関野吉晴など、各界の著名人が自らの仕事や生い立ちについて語る。子どもたちに向けたわかりやすい真っ直ぐな言葉が心にしみる。小難しいことを抜きにして「そもそも仕事って何?」と基本を考えてみたら、何か生き方のヒントを得るかもしれない。すでに仕事に就いている人も、これから仕事をしようとしている人にも読んで欲しい、「子どもだって哲学」シリーズの1冊。
『働くということ』
日本経済新聞社/編 日本経済新聞社(日経ビジネス人文庫) 2006
人に喜ばれる仕事がしたいと裁判官を辞めて料理人に転身した人、92歳のエンジニアと彼を尊敬する38歳の部下など、十人十色の働く姿が紹介されている。職をめぐる環境や意識が変わっていく現在、誰しも「何のために働くのか」とふと考えることがあるだろう。その問いに本書が直接答えることはないが、本書を通じて出会えた多くの働く人たちの生き方がそれぞれの働く意味を教えてくれる。
『就活格差』
常見陽平/著 中経出版 2009
著者は、就職ジャーナリストである。就職することが大変厳しい現在、「就活」の現場で起こっていることを“内定格差”と“採用格差”と呼び、このような格差が広がりつつある原因の考察と検証を行っている。また、就活生の「就活」の実態と企業の採用活動の実態をレポートし、よりよい就活、採活をするためにはどうしたらよいか、それぞれに向けて提案をしている。
『ルポ“正社員”の若者たち−就職氷河期世代を追う』
小林美希/著 岩波書店 2008
この本で取り上げるのは、安定した職であるはずの“正社員”の若者たちである。しかし彼らは、新規雇用の抑制による人手不足などにより、長時間労働やサービス残業などを強いられている現状にある。深夜までの激務を続ける家電量販店社員、拘束時間12時間、年収300万円のコンビニ店長など、過酷な労働条件の中でそれでも働き続ける多くの若者たち。仕事とはなんだろうか、なぜ企業は彼らの努力に報いることができないのかを考えさせられる。
『働くって何だ−30のアドバイス』
森清/著 岩波書店(岩波ジュニア新書) 2006
著者が中学生や高校生世代の孫たちに向けて、働くことの意義を様々な事例を紹介しながらやさしい言葉で語りかける。扱うテーマも、朝起きる事から職業体験、インターンシップの活用や転職の心構えまで、多岐に渡る。ジュニア向けであるが、働くことに迷ったときに読むと初心に帰ることができる。
『15歳のワークルール−仕事につくとき、仕事をするとき、辞めるとき知っておきたい32のルール』
道幸哲也/著 旬報社 2007
タイトルには「15歳の」とあるが、子ども向けの内容という訳ではない。仕事をしている大人たちにも知っていてもらいたい、自分の権利を守りながら、やりがいをもって好きな仕事を続けていくための最低限のルールがQ&A形式でわかりやすくまとめられている。章末にニート・格差社会・フリーターなどについてのコラムも載っており、今まで労働問題にあまり興味のなかった人にも読んでもらいたい1冊である。
『大卒無業−就職の壁を突破する本』
矢下茂雄/著 文藝春秋 2006
本書は「親のための就職講座」である。著者は長年リクルートグループで企業の求人や学生のモニタリング、学校への就職アドバイスなど就職・採用に関わった経験から、「就職活動は、親が教えるべき最後の社会勉強」だと考えている。本書は10年以上続いた就職氷河期が一時持ち直した時期に出版されているが、ふたたび就職が厳しくなった現在、就職活動の一助となるのではないだろうか。
『“働く”をじっくりみつめなおすための18講義』
村山昇/著 クロスメディア・パブリッシング 2007
「自分は何のために働いているのだろうか?」誰もが一度は自問したことがあるだろう。自分を見失ってしまうような忙しさの中でふと、この問いが頭に浮かんできたことがあるのではないか。 本書は18のテーマを取り上げ、著者自身が体験した事例の紹介や参考文献から引用した名言を交えながら、より良く働き、より良い人生を送るためのヒントを与えてくれる。視点や考え方を変えることによって、自分をみつめなおすことができればと思う。