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歴史と天候

 過去に起きた気候変動は、問題の根源に立ち返るために必要な知識である。南極やグリーンランドの氷柱の観察は、数万年前に起きた地球の気候変動の歴史を明らかにした。歴史時代以前の地質時代は自然に現れた指標から、また気象観測時代以前の歴史時代は記録や書物等から、気象が推定されている。一万一千年前の最終氷期以降、地球は温暖化と寒冷化を繰り返し、中世の温暖期、中世の小氷期と続いた。
画像:『歴史を変えた気候大変動』

『歴史を変えた気候大変動』

B.フェイガン/著  河出書房新社  2009年 

 1300〜1850年頃の小氷河期を中心に起こった気候大変動は、中世ヨーロッパの歴史に大きな影響を与えた。予測できない寒冷化は大飢饉を引き起こし、大飢饉へ対処する形で始められた農業革命や産業革命などが、人類の歴史を動かした。気候変動という大きな流れとともに、数百年前の地球に生きた人々の生活や人生が存在していたことを教えてくれる。

画像:『氷に刻まれた地球11万年の記憶』

『氷に刻まれた地球11万年の記憶』

リチャード・B・アレイ/著 ソニーマガジンズ 2004年

 グリーンランドの氷芯を調べると、過去の地球の気候は大きく変動していたことが判明した。その原因は、地球の軌道のズレ、大陸の移動など外的な大きな力が加わったことであった。現代は安定した気候を保っているが、温室効果ガスなどにより、過去のような気候変動を人間が引き起こす可能性があると、著者は警鐘を鳴らしている。

 
画像:『チェンジング・ブルー』

『チェンジング・ブルー』

大河内直彦/著 岩波書店 2008年

 1970年代、それまで危惧されていた気候変動が、寒冷化から温暖化へと変化した。以降、地質学者たちによる過去の気候変動研究の成果は、気候変動のからくりを明らかにしてきた。海底堆積物という自然の産物に隠されていた情報から、氷期―間氷期という周期的な気候サイクルを発見するエピソードなど、科学ノンフィクションとしても興味深く読める。 

画像:『ほんとうの環境問題』

『ほんとうの環境問題』

池田清彦、養老孟司/著 新潮社 2008年

 今でこそ地球温暖化が騒がれているが、30年前は、異常気象は何でも寒冷化が原因とされていた。本書は、「環境ブーム」に踊らされることを批判し、環境問題の裏に隠れている本質に迫る。『バカの壁』の著者で解剖学者の養老孟司が、池田清彦とともに現代の環境問題に鋭いメスを入れた、「環境問題の問題」を考える本である。

画像:『凍った地球』

『凍った地球』

田辺英一/著 新潮社 2009年

 現在、人類は地球温暖化に直面している。しかし、これより大規模な地球環境変動が過去には何度も生じてきた。そのひとつがスノーボール(全球凍結)であり、かつて地球の表面は完全に氷で覆われていたとされる。過去の地球で何が起こり、生命の進化とどのように結びついたのか。地球環境の生い立ちを知ることは、地球の将来を考えることに役立つ。

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