浦安市立図書館

こころをつかむデザイン

 1つの商品を手に取り、買い物かごに入れ、支払いをして自分のものとする。この一連の行為を後押しするものはなんでしょうか。隣に並んでいる同じような商品ではなく、この商品を選んだことには何らかの動機づけがあったはずです。もちろん製品としての性能や大きさ、価格なども重要なポイントですが、それ以前に手に取って見てみよう、試してみようと思わなければ性能を知る機会もなくなってしまいます。

 企業はこの単純な一連の行為を消費者にしてもらうために、様々な戦略を試みています。もちろん購入後の製品が消費者の満足を得られなければ、継続して購入してもらうことはできません。そのための製品開発が先にあることは確かでしょう。それでも、製品開発のためのマーケティングに始まり、手に取ってもらうためのパッケージデザイン、知ってもらうための宣伝、そして最終的に店舗にどのように並べるかまで、どれ一つをとっても慎重に選び抜かれ、検討を重ねているのです。

 さて、私たちは消費者として、このような企業の思惑にどの程度気づいているでしょうか。製品は変わらないのにパッケージに惹かれて購入したり、テレビでよく聞く商品名だから安心して購入したり、ということはよくあります。製品を賢く見極め選定するだけではなく、素敵なデザインや広告を楽しむことも多いのではないでしょうか。一方で各企業が数々の努力を行った結果、より良い製品となって消費者の手元に届いているということも事実でしょう。

 また、企業の売る努力の結果としてのパッケージデザインやキャッチコピー、各種コマーシャルなどは時代によって傾向があるなど、一つの文化を形作っているといえます。このようなことから今回の「心をつかむデザイン」の展示では、色・デザイン、コピーを中心に、マーケティングや販売戦略まで範囲を広げ、文化としての商業デザインに焦点を当てました。また、図書館の中心である“本”を商品としてとらえ、一連の流れを例に取り上げます。

 単純にパッケージの色、デザインを楽しむだけではない、一歩先の世界をご案内します。

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