ミステリ
ななつのこ
加納朋子/著 東京創元社 1992
ある日、女子大生駒子は、書店で1冊の本『ななつのこ』に一目惚れしてしまう。身近で起こったちょっとした事件をしたためてファンレターを送ったところ、思いがけず作者から返事が届いたが、そこには、手紙から推理した事件の真相が書かれていた。日常の中の謎をめぐる駒子と作者の往復書簡。さわやかな読後感の7つの連作ミステリーで、シリーズ続編に『魔法飛行』、『スペース』がある。
図書館警察
スティーブン・キング/著 文藝春秋 1996
アメリカの地方都市で不動産と保険を取り扱うサムは、急遽講演会をすることになり、参考になる本があればと、初めて町の図書館を訪れる。サムに本を紹介したのは、どこか不穏さを漂わせる司書ミズ・ローツ。貸出期限を守るように言われるが、本を無くして期限が来てしまう。そんなサムの元に図書館警察がやって来る。サムは何をされるのか? 埋め合わせに何をもっていかれるのか?
中編ホラー「図書館警察」と「サン・ドック」の2編を収録。
死の蔵書
ジョン・ダニング/著 早川書房 1996
廉価な古本の山から値打ちの本を探し出す“古本掘り出し屋”のボビーが殺された。金もなく害もない本好きの物静かな男がなぜ殺されたのか。元刑事の古書店主クリフは被害者が莫大な価値の蔵書を隠し持っていたことを突き止める。この蔵書はどこから手に入れたのか? ボビー最後の取引を調べていくうちに第2の殺人がおこる。
古書の薀蓄がふんだんに盛り込まれた、稀覯本取引を巡る殺人事件。最後の1行ですべての疑問が明らかになる。古書店主グリフのシリーズ第1作。
古本街の殺人
紀田順一郎/著 東京創元社 2000
神田神保町の古本屋で店主の死体が発見された。容疑者は隣の部屋で会合を開いていた「黎明の会」の愛書家たちと、犯行時刻頃に店の周辺で目撃された、神保町の再開発に関わる不動産屋。はたして古本取引を巡る殺人なのか、地上げ問題に絡むものなのか? 神田署の田波刑事らの丹念な聞き込みにより犯人が明らかになる。
古書に通じた紀田順一郎氏による、神保町に集まる古書コレクターや古本屋の特異な世界を描いた古書ミステリー。『鹿の幻影』の改題新版。
淋しい狩人
宮部みゆき/著 新潮社 1993
東京下町にある、小さな古本屋の店主、イワさんと孫の稔が二人で切り盛りする「田辺書店」に少女が小説を持って訪れた。小説の事件内容が少女の父が書いた未完の小説『淋しい狩人』の内容に酷似していたので、イワさんに相談しにきたのであった。様々な事件が持ち上がる、本をテーマに描く連作ミステリー。第45回日本推理作家協会賞候補となった「六月は名ばかりの月」など6作品を収録。
配達あかずきん
大崎梢/著 東京創元社 2006
主人公は、書店で働くしっかり者の杏子と、勘の鋭い大学生アルバイト・多絵。近所に住む老人から「いいよんさんわん」という本を探してほしいと言われる「パンダは囁く」ほか、短編5作品を収録。
書店・成風堂を舞台にしたミステリシリーズの第一弾で、元書店員・大崎梢のデビュー作。本編に登場する出版社営業の井辻君が活躍するスピンオフも合わせてどうぞ。
古書狩り
横田順彌/著 ジャストシステム 1997
古書を集める主人公が、同じ本を買い求める老人にたびたび遭遇する「古書狩り」。ある一冊の本の表紙カバーや売上スリップを次々と盗まれてしまう古本屋の話「姿なき怪盗」。古書にまつわる、ミステリーあり、SFありの9編からなる短編集で、くすりと笑えたり、思わぬラストにゾクリとしたり、いろいろなテイストが味わえる。古書収集のマニアックな世界がのぞける一冊。