火山災害の予知・減災
『これからの防災・減災がわかる本』
河田惠昭/著 岩波書店 2008年
本書ではまず、過去の災害の特徴や、被害が大きくなった原因を紹介している。災害は歴史的に繰り返すので、昔起こったことを知った上で、被害を大きくしないための具体的な方策を考える必要があるのだ。 危機管理の基本は「自助、共助、公助」である。その割合は7対2対1であるのが望ましいが、過去の災害において、被災前の住民はこれを逆に考えており、被災直後の混乱があったという。各人が備えや心構えをしっかりしておくことが重要である。
『地震と噴火の日本史』
伊藤和明/著 岩波書店 2002年
日本列島は古くから大地震や噴火に見舞われてきた。本書は『日本書紀』に書かれた日本最古の地震記録や中世の史料にある各地の震災事例をあげている。加えて、江戸時代の富士山・浅間山の大噴火、元禄大地震や安政大地震、三陸大津波についても述べている。震災当時の史料をもとに災害の規模、被害の様子、人々の対応、その後の歴史の動きなどがわかりやすく書かれており、これから起こりうる災害の備えに役立つ内容となっている。
『必ず発生する富士山噴火と巨大カルデラ噴火』
ニュートンプレス 2014年
富士山がいつ噴火してもおかしくないと言われている。それはプレートと呼ばれる岩盤が3つ重なり合っている場所に位置しているという特殊な条件によって、地下のマグマが富士山に供給されやすくなり、活発な火山活動につながるという説によるものである。世界有数の火山密集地帯である日本の火山の成り立ちや、地震との関係が図で解説されているのを見て、火山災害はただ恐れるだけではなく、メカニズムを理解してしっかり備えたい。
『有珠山 火の山とともに』
岡田弘/著 北海道新聞社 2008年
地震活動を予兆に、有珠山の噴火は必ず始まる。決して噴火しないことはないという。著者は北海道にある有珠山火山観測所の所長として、2000年(平成12)年の噴火の前後、さまざまな観測結果をもとに事前警報、事前避難を呼びかけ、人的災害を防いだ。しかし、火山災害で最も困難な問題は、予測や避難よりも規制解除や産業、地域住民との対応であるという。火山とどう付き合うか、研究者の目から見たその答えは、意外なところにあった。