学園★推理
暗黒女子
秋吉理香子/著 双葉文庫 2016年
聖母女子高等学院文学サークルの豪奢なサロンでは、闇鍋を食しながら各自が書き上げた短編小説の朗読を聞く「定例闇鍋朗読会」が行われていた。小説のテーマは、前会長であり、学院中の憧れの的だった白石いつみの謎の死。ところが、メンバー各々が朗読する小説の中のいつみの印象は、書き手によって大きく違っている。会が進む中、最後に現会長の小百合が発表した作品は、驚愕の内容であった。(初出2013年)
緋色の囁き
綾辻行人/著 講談社文庫 1997年
幼い頃の記憶がない冴子は、伯母である名門女学園の校長に引き取られ、全寮制の学園に転入する。異常な程厳しい校則と、生徒内で横行する魔女狩り。寮にある開かずの間で、「魔女」と噂のあった同室の生徒が焼死体で発見され、さらに次々と生徒たちの惨殺事件が起こる。冴子は、自分が寝ている間に夢遊状態で出歩いているのに気づき、その間に殺人を犯しているのではないかと恐怖する。囁きシリーズ第一弾。(初出1988年:祥伝社)
七つの海を照らす星
七河迦南/著 東京創元社(文庫) 2013年
北沢春菜が勤める七海学園は、家庭の事情で親と暮らせない子たちが生活する児童養護施設。亡くなったはずの先輩が現れたという葉子、卒業間近に多額のお金が振り込まれた優姫、行き止まりの階段から消えた少女が忘れられない俊樹…。春菜の話を聞いたベテラン児童福祉司の海王は、傷ついた子どもたちの悩みと不可思議な謎を優しくひも解いてゆく。第18回鮎川哲也賞受賞作品。続編『アルバトロスは羽ばたかない』のどんでん返しも見逃せない。(初出2008年:東京創元社)
氷菓
米澤穂信/著 角川文庫 2011年
神山高校に入学した「何事にも積極的に関わらない」がモットーの省エネ少年・折木奉太郎は、姉に頼まれて廃部寸前の『古典部』に入部する。鍵の掛かった部室に行くと、好奇心旺盛なお嬢様・千反田えるが閉じ込められていた。状況証拠のみで密室の謎を解いた奉太郎は、彼女から「古典部だった伯父から聞いた“何か”を思い出させてほしい」と依頼され、文集『氷菓』に秘められた33年前の事件を探ること…。大人気の古典部シリーズ第1弾。
その時の教室
谷原秋桜子/著 東京創元社 2015年
臨時採用の産休補助教員として埼玉県の高校に赴任した美紀は、執拗なストーカーから逃れるために、前任校の在籍時とは名字を変えて勤め始めた。新しい人生を踏み出したつもりの美紀だったが、顧問となった演劇部で、彼女の過去を知るかもしれない謎めいた優等生、瑞希と出会う。
4つの高校を舞台に、生徒たちの不可解な行動に翻弄される教師たちを描いた学校ミステリー。
消失グラデーション
長沢樹/著 角川文庫 2014年
藤野学院高校2年の椎名康は、女子バスケ部のエース、網川緑がクラブ棟の屋上から転落しているのを見つける。慌てて駆け付けたが何者かに襲われ、気が付くと網川の姿は消えていた。一方、校内に忍び込んで制服などを盗む謎の美少年「ヒカル」を追う放送部の樋口真由は、康と共に網川の行方と事件の真相を探り始める。
悩める高校生たちの秘密と葛藤を痛々しくも繊細に描いた、第31回横溝正史ミステリ大賞受賞作。(初出2011年)
死者の学園祭
赤川次郎/著 角川文庫 2009年
高校2年生の真知子は、転校前の最後の日、クラスメイトの投身自殺に遭遇する。転入した東京の私立高校でも女子高生が次々と謎の死を遂げたことから、真知子は事件解明に乗り出す。犯人はこの学園にいる! 恋人の神山英人とともに殺人事件の真相に迫るが、黒幕は思いもよらない人物だった。
『幻の四重奏』『赤いこうもり傘』と並ぶ赤川次郎初期の佳作。30年以上前の作品だが、今も色あせない青春ミステリーだ。(初出1977年:朝日ソノラマ)
ソロモンの偽証
宮部みゆき/著 新潮文庫 2014年
クリスマス当日。雪の積もる校庭で、中学2年生の柏木卓也が転落死しているのが見つかった。やがて不良の大出たちが屋上から突き落としたのを見たという告白状が、刑事を父に持つ同級生の藤野涼子の元に届く。事態の収拾のみに躍起になる学校、教師による隠蔽情報を嗅ぎ付けたマスコミ。大人たちに翻弄されたまま、結局何もわからないことに業を煮やした涼子は、真実を明らかにするために、自分たちだけで学校内裁判を開くことを決意する。(初出2012年)