人間失格
太宰治/著 新潮社 2006年
「恥の多い生涯を送ってきました。」という名文で有名な小説。主人公の葉蔵は、表向きは陽気にふるまいながら内面は滑稽なくらい卑屈で陰気というギャップがあります。対人向けの仮面をかぶりすぎて、自分が分からなくなってしまった時に読むと、心に刺さって何度でも読みたくなります。
みどりのゆび(愛蔵版)
モーリス・ドリュオン/作 ジャクリーヌ・デュエーム/絵
安東次男/訳 岩波書店 2009年
チト少年には特別な能力がありました。それは「みどりのゆび」を持っていること。ふれると種を芽吹かせ、花を咲かすことができる特別な才能です。チトの家は裕福でしたが、お父さんは戦争で利益を得る武器商人でした。そこで、チトは「みどりのゆび」を使って、戦争を止めさせようとします。
氷点(上・下)
三浦綾子/著 角川書店 2012年
医師の辻口啓造は、妻夏枝への歪んだ感情から、自分たちの娘を殺した犯人の子を引き取ります。何も知らない夏枝はその子を陽子と名付け、可愛がって育てていましたが、事実を知ると、しだいに辛くあたるようになります。原罪という重いテーマですが、気づくと話に引き込まれ、ページをめくる手がとまりません。(続編あり)
銀河鉄道の夜(宮沢賢治童話全集11)
宮沢賢治/著 宮沢清六/編集 堀尾青史/編集
岩崎書店 2016年
「あああの白いそらの帯がみんな星だというぞ。」
夜の闇に灯る青い光が、透明な水のように澄んだ空気が、宮沢賢治の美しい文章によって色鮮やかに浮かび上がります。言わずと知れた名作ですが、かつて読んだことのある方も、いま初めて目にした方も、どうぞ今一度お手に取ってご覧ください。
風姿花伝
世阿弥/著 野上豊一郎/校訂 西尾実/校訂 岩波書店
本のタイトルは、歴史や古典の授業で名前を聞いたことはあると思います。世阿弥の最初の能芸論書ですが、その中身には現代の私たちでも心を打つようなエッセンスが多く含まれています。能が分からなくても大丈夫! 何か1つでも一生懸命に取り組んでいるものがある人は、ぜひ読んでみてください。
レ・ミゼラブル (上・中・下)
ヴィクトル=ユーゴー/作 岩瀬孝/訳 大野多加志/訳
偕成社 1993年
貧困のどん底でもたくましく生きる人々の物語。パンを盗んだ罪で19年間牢に入っていたジャン=ヴァルジャン、執拗な警官、不幸な女性、悪党などみんな個性派ぞろいです。警官からの逃避行あり、若者たちの恋愛あり、命がけの反乱ありのエンターテイメント。映画やミュージカルにもなりました。
(表紙画像は中巻のものです。)