浦安市立図書館
画像:宮沢賢治の世界

    誰もが知っている童話作家で詩人の宮沢賢治。有名な作品が数多くありますが、難解とも言われており、教科書で読んで以来、遠ざかっているという方もいるかもしれません。素直な気持ちで楽しむのもよいですが、博識であった賢治が作品にこめたメッセージに思いをはせれば、より深く味わうことができるに違いありません。

   賢治の生前に刊行されたのは『春と修羅』『注文の多い料理店』のみ。広く評価されることなく、37歳で短い生涯を閉じました。今、私たちが読むことができるのは、亡くなる間際に託された未発表原稿を空襲からも守り抜いて世の中に広めた弟の宮沢清六氏や、いち早く作品の素晴らしさに気づき尽力した草野心平氏らの情熱があってこそ。現在、賢治に魅せられた人は、様々な分野や立場に及び、今なお多くの研究者が生まれていますが、解釈も様々で賢治の謎は尽きることがないようです。

   今回の展示では、賢治の独創的な世界観を理解するための助けとなるよう、特に、作品に散りばめられている天文学、地質学、音楽、宗教などの多方面の専門知識についての研究図書を、定評のある全集とともにご紹介します。1月には宮沢賢治をテーマとした連続講座「図書館カルチャー」も予定しています。ぜひご参加いただき、更に作品を読み込むためにお役立てください。

   寒い冬、雪深い岩手の景色を思い浮かべながら、皆様それぞれが“新たな宮沢賢治”を発見していただければ幸いです。

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