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『ケインとアベル』 上・下巻
ジェフリー・アーチャー/著 新潮社 新潮文庫 2007年
ずば抜けた商才で社会の底辺からのし上がり、全米に広がるホテル・チェーンを作り上げたポーランド移民のアベル。裕福な家庭に生まれ出世コースを突き進み、確かな判断力で大銀行の頭取の地位をつかんだエリートのケイン。彼らは同じ年の同じ日に生まれ、全く違う前半生を歩んだ。交互に描かれる2人の人生はやがて交錯し、アメリカを舞台に決定的に対立していく。20世紀現代史を背景に、2人の男の運命的な対立を描く。
『空飛ぶタイヤ』
池井戸潤/著 実業之日本社 2016年
大手自動車メーカーのリコール隠しをテーマにした作品。運転中のトレーラーが脱輪し、タイヤが歩行者に直撃する事故が発生。所有者の赤松運送の整備不良が原因と思われたが…。
大企業ホープ自動車を相手に、真実へと迫る社長の赤松徳郎を中心に関係者の思惑と苦悩が描かれている。世間やマスコミから叩かれ、精神的に追い詰められた赤松は、無実を証明するため大企業の闇に挑む。ドラマ・映画化もされ、話題となった作品である。
『怒りの葡萄』 上・下巻
ジョン・スタインベック/著 早川書房 2014年
1930年代、世界大恐慌が社会を圧迫しアメリカ中西部では砂嵐によって土地が痩せた。多くの小作人たちが故郷を離れる決意をし、オクラホマのジョード一家も家財をトラック一台に乗せて、総勢13人で希望の地カリフォルニアへと向かった。しかしそこでも飢えに直面する過酷な日々が続く。この小説は、ジョード家を通して、移住農民たちの恐怖と怒り、そして人間らしく生きるために「生き延びる」人々を描いた一冊である。
『白昼の死角』
高木彬光 著 KADOKAWA 角川文庫 1986年
終戦直後、日本の経済活動が混乱する中、六法全書を隅から隅まで調べ尽くして法律の死角と盲点を突き、大胆不敵な完全犯罪を次々と遂行していった「天才詐欺師」鶴岡七郎を描いた悪漢小説。
東大出身者の詐欺集団「太陽クラブ」による手形詐欺から始まり、数々の金融詐欺に手を染めていくという稀代の「ワル」鶴岡七郎。時は流れ、箱根のとある湯治場で、彼は過去にやってのけた完全犯罪を淡々と語り始める。