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『心を癒す漱石の手紙』
矢島裕紀彦/著 小学館 2009 年
  夏目漱石は、50年に満たない生涯で実に多くの手紙を書いた、筆まめな作家でした。それらの手紙は約2,500通が残され、全集への収録や書簡集という形で世に出されて、今日の私たちに漱石の人となりを教えてくれます。
  著者は、綿密な取材をもとに、手紙に対する返信、当時の風景や人間関係を添えることで、さらにはっきりと人間・漱石の姿を浮き彫りにします。夏目漱石の魅力は、その手紙にこそ、凝縮されているのです。
『ほの暗い永久(とわ)から出でて 生と死を巡る対話』
上橋菜穂子、津田篤太郎/著 文藝春秋 2020 年
  『精霊の守り人』や『鹿の王』などの物語の作者であり、文化人類学者でもある上橋菜穂子氏が、母親の病気がきっかけで出会った、聖路加国際病院の医師である津田篤太郎氏と交わした往復書簡です。それぞれの分野で活躍する二人が、豊かな感性と知性によって、生と死について「思考のキャッチボール」を展開していきます。二人の手紙は、わたしたちを深く静謐な旅へと連れて行ってくれます。
『ヒア・アンド・ナウ 往復書簡 2008-2011』
ポール・オースター、J.M.クッツェー/著 くぼたのぞみ 他/訳 岩波書店 2014 年
  現代アメリカを代表する作家で映画製作も手掛けるポール・オースターと、南アフリカ出身でオーストラリア在住のノーベル文学賞作家J.M.クッツェー。仕事を通して知り合い、気の合った二人は、定期的にやり取りをして本にする企画を立ち上げます。
  2008年夏から2011年夏の間に交わされた手紙は、世界情勢や社会文化論から加齢の悩み、旅行のレポートまで、多岐に渡ります。二人の友情に引き込まれる1冊です。