19世紀ヴィクトリア朝時代、電信の発明が社会に与えた影響は、 驚くほど現代のインターネットに似ていました。ケーブルを敷設し 世界を結ぶには、困難を乗り越えなければなりませんでしたが、 そこには妻の死に間に合わなかったサミュエル・モールスを はじめとした先駆者たちの、もっと早く遠くへ情報を届けたいという 強い思いがありました。電話やインターネットのルーツである電信の、 歴史と数多くのエピソードが語られています。
日本に電話機が渡来したのは明治10年。当時は離れた場所にいる 人の声が聞こえる不思議さと恐怖から、病原菌も媒介するのでは という声が出たほどでした。加えて、電話機が大変高価だったことや 供給力不足により、一般に普及するまで90年近くかかりました。 電話交換手や証券市場での株取引、公衆電話の状況など、時代背景 を反映したエピソードが綴られ、現在のスマートフォンが普及する までの人々と電話の歩みを知ることができます。
国際電信電話(KDD)で通信技術の発展に貢献してきた著者。 日本の近現代における国際通信の歴史を振り返り、技術やインフラの 発展がその時代の安全保障や経済にどう影響を与えたかを 解説します。国家戦略として暗号解読についても言及しており、 未だ諸説ある日米開戦時の最終通告書が遅れた問題の真相に 迫ります。通信技術は、150年前から現代においても、外交や 安全保障と密接に関わり合っていることがわかります。
19世紀後半から20世紀初頭は、電信、電話、無線などの情報通信の 先端技術が実用化された時代でした。ドイツではドイツ帝国逓信省、 日本では明治政府の逓信省のもとで整備が進められました。 その技術の発達過程で、女性は電話交換業務へ、男性は電信業務へ と振り分けるジェンダー化現象が起こりました。本書は、電話交換手が 「女の仕事」、電信技士が「男の仕事」となっていく状況を 両国の事例をもとに分析しています。
2018年以降、政府による値下げ政策が進められ、徐々に 引き下げられてきた感がある携帯電話料金。なぜ日本の料金は 海外に比べて割高だったのでしょうか? 長年、情報通信業界に 携わってきた著者が、背景にある行政機関と電気通信事業者の 関係や携帯事業者の実態を明らかにするとともに、2019年から 始まった5Gサービスの可能性と、5Gをめぐるグローバル競争 について検証しています。