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『あの日を刻むマイク ラジオと歩んだ九十年』
武井照子/著 集英社 2022年
日本のラジオ放送は、大正14年に始まり人々のかけがえのない
娯楽となりました。この年に生まれた著者は、「子供の時間」
の放送に夢中になり、成長してアナウンサーとなります。
働く女性・母親の先駆けとして「お話でてこい」などの
ディレクターとしても活躍しました。ラジオとともにあった
人生が、谷川俊太郎、まど・みちお、石井桃子といった図書館
でもおなじみの人たちとのエピソードとともに、生き生きとした
言葉で綴られています。

『メディアの生成 アメリカ・ラジオの動態史』
水越伸/著 筑摩書房 2023年
現代まで続く、地殻変動ともいうべきメディアの変化を、
アメリカのラジオを通して歴史社会的にとらえなおすことを
試みたのが本書です。一部の好事家のものだった「ラジオ放送」
という新しい技術に、人々の営みが付加され、メディアとして
受容され、社会的な立ち位置が付与されるまでの流れを丁寧に
追っています。初版はインターネット登場前夜の1993年の出版
ですが、現代のメディアを考えるうえでも参考になります。

『いつものラジオ リスナーに聞いた16の話』
菊池良生/著 集英社 2008年
かつてラジオは深夜であってもリアルタイムで聴くもので、
録音するには機材が必要でした。しかし、今はスマホで気軽に
ラジオが聴ける無料のアプリが普及し、ラジオのあり方が
大きく変化しています。ラジオとの関わり方は、十人十色。
本書に登場するラジオリスナーたちは、ラジオは日々の生活に、
時には仕事にも寄り添ってくれるといいます。世代や性別、
職種が異なる16人のインタビューはラジオ愛に溢れています。

『日本懐かしテレビ大全』
辰巳出版 2022年
世代によっては、懐かしさではなく新鮮さを感じるかも
しれません。主に70年代から80年代に放送されたドラマや
バラエティなどのテレビ番組について、思い出や成り立ちと
ともに解説しています。今の価値観で考えるとちょっと過激に
思う番組もありますが、面白い番組を作ろうという当時の熱意が
感じられます。番組自体はすでに終了していますが、演出の手法
などが現代に残っているものも多く、発想力のすごさに驚かされ
ます。

『テレビ番組海外展開60年史』
大場吾郎/著 人文書院 2017年
日本のテレビ番組の海外展開は1960年代に始まりました。
「鉄腕アトム」の成功を皮切りに、「おしん」の世界的ヒットを
経て、「風雲!たけし城」に至ってはオランダ、ブラジルなどで
各国版が制作されるほどでした。2013年には、政府方針として
成長戦略に放送コンテンツの海外展開促進が盛り込まれ、国に
よる支援が始まりました。過去60年にわたる海外展開の成果と
課題を、国内外の関係者の証言を基に考察しています。