動物への理解
『シートンの自然観察』
E.T.シートン どうぶつ社
「シートン動物記」で有名なシートンは、文章だけでなくスケッチの名手だ。彼が、森を歩きまわって集めた動物の足跡の研究。手描きの描写と研究方法の詳細な説明には、そこから動物の種類や普段の生活まで読み取っていくシートンの、足跡をみつけた喜びがあふれている。
『地球動物記』
岩合光昭 福音館書店
1年365日、その一日一日に世界各地で撮影した野生動物の写真が、カレンダーのように並ぶ。その合間にはさまれる動物たちのドラマ。ある日命が生まれ、どこかで死を迎えるものもいる。動物のことも自然のことも、私たちはほんの少ししか知らないのだと、地球の大きさに気づかされる。
『ソロモンの指環』
コンラート・ローレンツ 早川書房
古代の王ソロモンは、動物の話がわかる指輪を持っていたという。だが、指輪がなくても、著者には動物の言葉が聞こえるようだ。鳥のヒナの刷り込み理論を発見したおかげ(?)で母鳥がわりに育児にいそしみ、動物を放し飼いにするために娘を檻に入れ、動物の奇妙な行動の謎を解き明かしていった。世界的名著ながら、動物たち見守るユーモアある語り口は暖かい。
『動物日記』
増井光子 河出書房新社
上野動物園の元獣医だった著者が語るさまざまな動物たちの逸話が盛り沢山の本。「マイナス30度に耐えるタヌキ」では誤って冷蔵庫に1ヶ月間閉じ込められたタヌキの運命やいかに・・・。普段の常識では考えられない動物たちの数々の生態が明かになる。
『ゾウがすすり泣くとき』
ジェフリー・M・マッソン 河出書房新社
動物にも人間と同じような感情があると考えなければ、理解も説明もできないようなことが身近な生活の場面においても往々にしてある。つがいの死を悼み、子を守る。孤立に悩み、自由を求める。安易な擬人化をさけながら、さまざまな動物たちの“声無き声”の実証に迫っていく。
『フィンチの嘴』
ジョナサン・ワイナー 早川書房
ガラパゴス諸島の鳥、ダーウィンフィンチの嘴(くちばし)の20年にわたる調査から、しだいに明らかになった自然選択による進化の過程。進化とは、遠い昔のできごとではなく、私たちの目でもとらえられるものだということを示してくれる一冊。ピュリッツアー賞受賞。
『ゾウの時間ネズミの時間』
本川達夫 中央公論社
時間は誰にとっても同じ速さで流れていく、というのは本当の事だろうか? 大きなゾウと小さなネズミ、このサイズも寿命も異なる二つの生き物は、生涯の心臓の鼓動時間は、どちらも20億回。ならば、ゾウとネズミの間で、時間は異なる流れ方をしているのかもしれない。生き物をみる視点がちょっと変わる本。
『「いきもの図鑑」牧野四子吉の世界』
牧野四子吉 東方出版
牧野四子吉氏は、日本の生物生態画のパイオニアである。1900(明治33)年に生まれ、1930(昭和5)年ごろから図鑑の制作に携わるようになった。誰もが一度は目に触れたことのある「原色動物大図鑑」「ジャポニカ大日本百科事典」「広辞苑」などのために描かれた約1,200点の挿絵の原画を収録し、その生物画の魅力を紹介している。