動物と共生する未来
『動物に権利はあるか』
ローレンス・プリングル 日本放送出版協会
人間は動物を科学実験に使い、その肉を食べているが、それはどの程度までなら許されるのだろうか。動物の権利についての賛否両論だけでなく、動物権の歴史や哲学について述べ、人間が動物にどう関わっていくべきなのかを多方面から検証する。
『南極がこわれる』
藤原幸一 ポプラ社
南極では地球温暖化だけでなく、ゴミも大きな問題となっている。1995年から南極のペンギンを撮影し続けてきた著者の写真は、言葉よりも顕著に南極の現実を映し出す。巨大なゴミの山に戸惑い、怪我を負って血を流すペンギンたちの姿を目に焼きつけてほしい。
『動物の言い分 人間の言い分』
日高敏隆 角川書店
動物行動学の権威である筆者が、動物に関する雑学を素人にも興味深く、わかりやすく語る。人間の視点には奇異に映る動物の行動や異様な姿態にも、動物の視点からはまっとうな言い分がある。人間も動物もそれぞれの論理で生きていることがわかる。
『絶滅動物誌 人が滅ぼした動物たち』
今泉忠明 講談社
大航海時代のヨーロッパの人々や近代化を急いだ明治以降の日本人は、さまざまな野生動物を絶滅させてしまった。ドードーやニホンオオカミなど、人類による乱獲や環境破壊によって地上から消え去った動物たちの悲劇を追った一冊。
『ワイルドライフ・マネジメント入門 野生動物とどう向きあうか』
三浦慎悟 岩波書店
かつて絶滅が危惧されたシカやクマなどの野生動物たちは、現在では分布域や個体数が増加し、農林業被害や人身事故、生態系の破壊などを引き起こしている。生物の多様性を保持しながら、野生動物と人間の共存をはかるための取り組みを紹介する。
『ひとりぼっちのジョージ 最後のガラパゴスゾウガメからの伝言』
ヘンリー・ニコリズ 早川書房
絶滅したと思われたピンタ島のゾウガメが生きていた。種でたった一匹生き残ったその亀は、ロンサム(ひとりぼっちの)・ジョージと呼ばれるようになる。今、まさに絶滅しようとする生き物に対し、私達は何ができるのだろうか?
『オオカミを放つ 森・動物・人のよい関係を求めて』
丸山直樹・須田知樹・小金澤正昭 白水社
日本狼が絶滅して100年余、生態系の頂点に立っていた肉食獣を失い、自然はそのバランスを崩した。増えすぎる鹿や猿による農作物への被害。本来の姿を取り戻すために必要な事は、狼を野に放つことだと著者たちは言う。はたして、現代の日本人は狼と共存できるのか、諸外国の事例を踏まえた具体案の紹介。
『絶滅危機生物の世界地図』
Richard Mackay 丸善
世界各国の自然環境の変遷と動植物の危機的状況が、項目別に世界地図で紹介されている。自然状態における種の絶滅の割合に比べ、生息環境の破壊による絶滅は驚くほど高い。「私達が今何をしなければならないか」という問題を投げかける。
『滅びゆく動物たち』
加瀬信雄 青春出版
生物の大量絶滅期は六回目を迎え急激に進んでおり、その原因は人間にあるといわれている。動物カメラマンである著者が世界各地で絶滅してしまった動物の歴史をたどり、絶滅のメカニズムや危惧されている動物をあげて、保護の試みを考える。