格差・貧困
『教育格差の真実−どこへ行くニッポン社会』
尾木直樹・森永卓郎/著 小学館 2008
20代は二人に一人が非正規雇用という現実・・・いつから世の中はこんなに変わったのか。本書は教育政策に詳しい尾木直樹氏と、経済アナリスト森永卓郎氏との対談を通して、教育と経済の両面から、こんなにも拡大し固定化されてしまった“ニッポンの格差”の真実を探る。二人は、この格差は、自然現象でもなく、歴史的な必然性もないと指摘する。ならば、どうして“ニッポンの格差”は発生したのか。
『子どもの貧困−日本の不公平を考える』
阿部彩/著 岩波書店 2008
格差社会である現代日本では、実に子どもの7人に1人は貧困状態であり、OECD諸国の平均よりその割合は高くなっているという。貧しい子どもが充分な教育を受けられず、大人になっても学歴社会の中で貧しさから抜け出せない日本は、果たして望ましい社会だろうか。著者は本書で数々の調査データから貧困を客観的に分析し、諸外国の優れた政策を紹介することにより、単に子どもの数を増やすのではなく子どもが幸せな社会を目指す提言を行っている。
『生活保護が危ない−「最後のセーフティーネット」はいま』
産経新聞大阪社会部 産経新聞出版 2008
本書は、平成19年4月から20年3月まで産経新聞(大阪本社発行版)に連載された「明日へのセーフティーネット」を加筆、再構成したものである。最後のセーフティーネットといわれる生活保護。しかし、報道で伝えられるのは、不正受給や行政の不祥事、膨らむ財政負担など制度不信に拍車をかけるものばかりである。本書は、生活保護を取り巻く様々な現状を伝えている。
『貧困にあえぐ国ニッポンと貧困をなくした国スウェーデン−スウェーデンはなぜ貧困をなくせたのか』
竹崎孜/著 あけび書房 2008
いま、スウェーデンは「福祉大国」として注目されている。しかし、一年の半分以上をスウェーデンで暮らす著者は、スウェーデンを弱者を対象とする「福祉大国」とするよりは、国民全体が豊かな「生活大国」ととらえるほうがふさわしいと語る。かつての貧農国がどのようにして貧困と格差をなくし、国民の生活全体を向上させる政策を展開してきたのか、日本との比較を交え明らかになる。これからの日本の国のありかたについて考える一助になる本である。
『貧乏クジ世代−この時代に生まれて損をした!?』
香山リカ/著 PHP研究所 2006
貧乏クジ世代とは、「団塊ジュニア」を含む1970年代生まれを指す。この世代は、子どもの頃にバブルを体験し、頑張れば幸せになれると言われてきた。しかし、就職期にはバブルがはじけてしまい、就職氷河期で就職難になり貧乏クジを引いた。現代の日本社会では、「自分さえよければいい」という考え方が多数を占める。そのような日本社会において、貧乏クジ世代がこれからの日本の舵をどうとるのか。本書は、そんな貧乏クジ世代を分析したものである。