少子高齢化
『産まない理由−今まで誰にも言えなかった私たちのホンネ』
葉石かおり/著 イースト・プレス 2006
子どもを産まない理由は、人それぞれである。子どもが嫌い・苦手、自分の人生を謳歌したい、社会的・経済的な不安などが子どもを産まない理由として挙げられている。著者は女性にアンケートをとり、取材を行った。出産経験のある女性は、どのタイミングでも子どもを産んでよかったというが、妊娠未経験女性の本音はどうか。女性である著者が取材を行ったからこそ聴くことができた、妊娠未経験女性の本音が書かれている。
『産める国フランスの子育て事情−出生率はなぜ高いのか?〜』
牧陽子/著 明石書店 2008
少子化問題について、さまざまな分析や対策案が次々に出てきているが、大きな効果を挙げるまでには至っていない。本書を通して、フランスが出生率を回復してきた経過を見ていくと、小手先の対策ではなく「家族観」、「親子の関係性」など様々な問題を解決しなければならないことに気づかされる。文化や歴史的背景の異なるフランスでの方法を直接日本に導入することはできないが、今後を考えていくときに参考になるものである。
『親子ストレス−少子社会の「育ちと育て」を考える』
汐見稔幸/著 平凡社 2000
世間を震撼させる、若者による凶悪な事件や犯罪。子育て論の第一人者である著者は“少子化”という社会現象が、子どもや若者の育ちに対して強いストレスを生み出していて、それらが種々の問題行動の要因になっていると断言する。国内外の教育・育児の現場から様々な「声」を集めた著者が、育ち、育てあう関係の、真の豊かさを提案している。
『買物難民−もうひとつの高齢者問題』
杉田聡/著 大月書店 2008
商店街と公共交通機関の衰退は、「足」をもたない買物難民層を生み出した。買物とは、日々の当たり前の生を享受する営みであるが、買物難民は店までの距離という障がいによって生活の根幹を揺さぶられている。本書は、買物難民層の筆頭である高齢者の「健康」「経済」「孤独」の問題を取り上げている。本書を読んで、今は自家用車を運転できるからよいが、将来運転できなくなった時の不安を感じるなど、この問題は他人事ではない。
『家族のデザイン』
小長谷有紀/著 東信堂 2008
本書は複数の執筆者により、家族のあり方が述べられている。多様化する社会、急速に進む少子高齢化の中で、いかに自分の人生をデザインしていくかという問題は奥深く、すぐに解答を導き出すことは出来ない。本書では、『家族』をひとつの切り口に様々な視点から考察をしている。私たち読者が、本書を通して『当事者意識』を持ち、認識を深めることが出発点になると指摘する。
『「家族」はどこへいく』
沢山美果子他/著 青弓社 2007
少子化・晩婚化・高齢化などの影響で衰退した現代の家族は、日本社会の病理の象徴として語られがちである。本書では、江戸時代の家族の姿から戦後日本までの家族の変容の歴史を確認し、さらに現代の人口減少社会や家庭内殺人の報道のあり方、日韓の家族意識の違いまで取り上げる。「都市空間の中の家族像」というテーマで開催した一連の講演会の記録であるため、平易な語り口そのままで分かりやすく、家族を通して現代を読み解く家族論の入門書である。