ローズマリ・サトクリフの世界 ―ともしびをかかげて―
児童文学者であり、歴史小説家でもあるローズマリ・サトクリフは、1920年、海軍軍人の家に生まれましたが、2歳の時にかかった病気のために手足が不自由になり、車椅子での生活を余儀なくされます。そのため教養のほとんどは独学で身につけました。14歳で美術学校に行き、細密画家となったサトクリフですが、偶然のことから子どもの本を手がけるようになり、1959年には、『ともしびをかかげて』でカーネギー賞を受賞しました。それ以降、子どものための歴史小説をはじめ、多くのすぐれた作品を生み出したのです。
サトクリフの歴史小説は、激動の時代のかたすみで生きる人々に光をあて、大きな歴史の流れに翻弄され、苦難を背負いながらも、誇りを失わず、力強く生きていくさまを描きます。その類まれなる筆力は、主人公の細やかな心の動きや、その時代の空気までも鮮やかに描き出しています。
大人にとっても読み応えのある作品ばかりです。児童文学の最高峰とも評される、サトクリフの歴史小説の重厚な世界を体験してみませんか。