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ローマン・ブリテンの世界

 歴史小説家サトクリフが最も愛したのが、ローマ軍支配下にある2〜5世紀のブリテンでした。
 世界最強の軍隊への敗北から、ローマ帝国属州ブリタニアは誕生します。けれども、異なる文化と異なる民族の間には、自らの誇りと信念をかけた戦いが続きました。憎しみの連鎖を断ち切り、理解と融和を進めることは可能なのか? 今も世界で続く対立の構図に、サトクリフの主人公は、自らの尊厳をかけて真摯に向き合います。
● ローマン・ブリテン4部作 ●
画像:『ともしびをかかげて』

『ともしびをかかげて』

猪熊葉子/訳 岩波書店 1987年

 ローマ軍の若き戦士アクイラは、苦悩の末ブリテンから撤退する軍から脱走し、生まれ育った地に残る決意をした。しかし、サクソン人に家族を奪われ、略奪者の奴隷にされてしまう。
 過酷な運命にさらされてもなお、誇りを失うことなく力強く生き抜き、成長していく人間の姿を描く。


 
画像:『第九軍団のワシ

『第九軍団のワシ』

猪熊葉子/訳 岩波書店 1987年

 ローマ軍の百人隊長マーカスは、戦闘によって怪我を負い、兵士としての希望を絶たれてしまう。傷心のマーカスは、父が率いていた軍団のシンボルであった「ワシ」の噂を耳にする。突然消息を絶ち、行方不明になっているワシと第九軍団を捜し求めるべく、奴隷であった親友のエスカと困難な冒険に出る決意をする。

 
画像:『銀の枝』

『銀の枝』

猪熊葉子/訳 岩波書店 1994年

 ローマ帝国末期、ブリテンの安全も脅かされつつある時代。軍団に配属された二人の若者が出会った皇帝は、さけがたいローマの衰えを押しとどめようと闘っていた。しかし、二人は皇帝暗殺の陰謀に巻き込まれ、追われる身になる。『第九軍団のワシ』の後日譚。

画像:『辺境のオオカミ』

『辺境のオオカミ』

猪熊葉子/訳 岩波書店 2002年

 敵の策略により大敗を招いた百人隊長のアレクシオスは、辺境の地ブリテンに左遷された。ローマへの反感を秘めた部族や、辺境のオオカミの異名を持つ一筋縄ではいかない部下たち。だが、やっとその地になじんできた矢先に大反乱が勃発する。抗戦か撤退か――アレクシオスは決断を下す。

● その他の歴史小説 ●
画像:『王のしるし』

『王のしるし』

猪熊葉子/訳 岩波書店 1987年

 奴隷の剣闘士フィドルスは、親友との決闘に勝利して自由の身となる。しかし、謎の人物が彼に近づき、王位を奪われた馬族の王に似ていることから彼に身代わりになってほしいと頼む。一族の運命をかけた戦いが続くなかで、王の役割を演じていたフィドルスは、いつしか真の王になっていく。

画像:『女王エリザベスと寵臣ウォルター・ローリー』(上・下)

『女王エリザベスと寵臣ウォルター・ローリー』(上・下)

山本史郎/訳 原書房 2007年

 大航海時代、スペインと激しく争いながら、黄金時代を築いた英国。この時代、航海者・軍人・文人として浮き沈みを繰り返し、断頭台で生を終えた男ウォルター・ローリーの生涯を、妻の目から描く。
 夢だけを追い求め、決して自分を振り返ったりしない男を夫にしたとき、それでも妻は幸せになれるだろうか。二人にしか分らない深い絆、それを人は愛と呼ぶのだろう。

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