球技
大延長
堂場瞬一/著 実業之日本社 2007
延長15回まで続いた甲子園の決勝戦。勝負は決まらず、翌日に持ち越しとなった。新潟海浜高校はエースの牛木が膝を痛め、再登板が危ぶまれる状況。一方、優勝候補の強豪恒星学園高校は監督移籍の噂、チーム内の不和、喫煙スキャンダルの発覚と問題が次から次へと起こる。翌日、両チームとも万全とはほど遠い状態で決勝戦を迎えた。試合は逆転に次ぐ逆転…。心理戦を制するのは果たしてどちらなのか。警察小説で名を馳せる堂場だが、デビュー作『8年』(集英社)も野球がテーマである。野球の他にもラグビー、駅伝、フリークライミングなどのスポーツ小説を発表している。
メジャー・リーグのうぬぼれルーキー
リング・ラードナー/著 筑摩書房 2003
戦前のアメリカ、大リーグが舞台。田舎町出身の元マイナー・リーグ投手ジャック・キーフは、ある日突然、大リーグへの移籍を監督から告げられる。メジャー選手となったジャックは速球を武器に、コースト・リーグ落ちなどの試練を経験しながらも、再起を果たして大活躍、遂には日本遠征の選抜選手となる。強気でうぬぼれ屋、失点は守備のせい、自分を起用しないのは監督のせいと豪語して憚らないジャックだが、ドジなところもあり憎めない。ジャックから郷里の友人に宛てた手紙の形式を取った当作品は、1910年代の新聞連載当時、巧みな口語表現とユーモラスな内容が評判を呼んだ。現在ではアメリカ現代小説の古典とされている。
青が散る
宮本輝/著 文藝春秋 1982
燎平は、志望校ではない新設の大学への入学を迷っていたが、一足先に入学手続をすませた美貌の夏子に会い、入学を決心する。巨体の金子からテニス部に誘われた燎平は、夏子との仲を取り持ってもらうという条件で入部、金子と2人でテニスコートを造る。テニスコートを造り終えた頃、部員が徐々に増え、テニス部の活動も活発になる。個性的な男子部員たちの男同士の交流や試合の様子、女子部員や夏子とのほのかな恋…など、大学生活を謳歌する若者たちの姿を巧みに描き、テニスの王道と覇道、友情、ライバル心、自信喪失、友との永遠の別れ、将来への漠たる不安など、さまざまな青春の光と影を浮き彫りにした作品。テレビドラマ化され、1983年から1984年にかけて放映された。
サッカーボーイズ
はらだみずき/著 カンゼン 2006
ジュニアサッカークラブ桜ヶ丘FCの6年生、武井遼介はチームの連敗と自分のスランプが原因で、キャプテンの地位はおろかレギュラーポジションまでも失ってしまう。その頃、監督の峯岸は妻の看病に専念するため、チームを旧友の小暮に託す決心をしていた…。少年の挫折と再起、弱小チームの強豪への挑戦、青春時代をともに過ごした大人たちの再会と永遠の別れといったさまざまなドラマが、サッカーを軸に展開する。続編に『サッカーボーイズ13歳』、『サッカーボーイズ14歳』、番外編としてチームメンバーの保護者が主人公の『スパイクを買いに』(いずれも角川書店)がある。