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武道・格闘技

画像:一瞬の夏

一瞬の夏

沢木耕太郎/著 新潮社 1981

仕事上のミスで鬱々たる毎日を送っていた著者に、元東洋ミドル級チャンピオン、カシアス内藤が再起するという信じがたいニュースが飛び込んできた。体格とボクシングセンスに恵まれながら努力を厭う天才は、4年前に引退した。その彼が、30歳を目前にしてこのままでは終われないと言い出したのだ。「いつか」燃え尽きるような試合をするまでは…と。再起をかけてトレーニングする彼に夢を重ね、トレーナーであるエディ・タウンゼントらも「いつか」に向けて走り出す。第1回新田次郎文学賞を受賞したノンフィクション。著者が描くカシアス内藤は、「クレイになれなかった男」「リア」(『沢木耕太郎ノンフィクション5』文藝春秋に所収)、『カシアス』(スイッチ・パブリッシング)でも読むことができる。

画像:武士道シックスティーン

武士道シックスティーン

誉田哲也/著 文藝春秋 2007

3歳の頃から剣道一筋の香織は、市民大会で無名の選手早苗にあっさり負けてしまう。雪辱を果たすべく、早苗と同じ東松学園高等部へ進学し剣道部に入部するが、早苗は日本舞踊出身で天真爛漫、闘争心のかけらもなく、香織の名前すら覚えていなかった。香織は、チーム戦で一人の勝敗よりも常にチーム全体の勝敗を考える先輩たちを見るうち、勝つことだけを目的としてきた自分の剣道に疑問を持ち始める。そのうちに香織は試合で勝てなくなり、休部することに…。剣道一筋で偏狭な考え方の香織と、香織の言動に戸惑いながらも、香織を放っておくことができない早苗の絶妙なやり取りが面白い。 続編に『武士道セブンティーン』『武士道エイティーン』(いずれも文藝春秋)。

画像:くらやみの速さはどれくらい

くらやみの速さはどれくらい

エリザベス・ムーン/著 早川書房 2004

自閉症のルウは、大手企業で働きながら趣味でフェンシングを楽しんでいる。毎週、トムとルシアの家で行われる練習に通って5年。練習仲間にはトムとルシアのほか、意地悪なドン、ルウが想いを寄せるマジョリーがいる。最初の年こそ動きがぎこちなかったルウだが、練習を重ねるうち、どんどん上達した。試合のすべてを記憶し、それを頭の中で自由な速度で再現できるので、集中すると対戦相手の動きのパターンがわかるのだ。ルウはトムから試合への出場を勧められるが、ルシアは心配して反対、ドンはいやがらせをエスカレートさせる。そして会社では、上司から自閉症の治療の実験台になることを迫られる。光の明滅と匂い、数字に敏感で、笑顔と怒りの表情の区別がつかない等の自閉症者の世界を細やかに描いた近未来小説。

画像:押し出せ青春

押し出せ青春

須藤靖貴/著 小学館 2007

相撲界からスカウトされたことで、柔道をあきらめ、高校を中退して相撲部屋へ入門した隆太。勝負の速さや相手を土俵の外へ押し出すシンプルな競技に柔道とは違う魅力を感じたのだが、いざ入門してみると幕下力士の厳しい現実が…。「桐疾風」という立派な四股名をもらったものの、激しい稽古に加え、関取の付き人で緊張が続く毎日。逃げ出したい気持ちを抑え、負けるものか!と目標の十両を目指す。著者は、スポーツ誌の編集者等を経て1999年に『俺はどしゃぶり』(新潮社)で小説新潮長編小説新人賞を受賞しデビュー。ほかにも『セコンドアウト』(小学館)、『どまんなか』(講談社)等、スポーツを題材にした小説がある。

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