手で試す
『煮干しの解剖教室』
小林眞理子/文 仮説社 2010年
解剖というと血が出て怖い、という子どもたちでも煮干しなら安心。大きい煮干しの方が観察しやすいが、家庭の冷蔵庫にある多少小ぶりの煮干しでも大丈夫。大きな口、音を感じる耳石など体の構造を確認しよう。心臓を見つけると、煮干しが生きた魚だったことを実感できる。解剖が終了した煮干しはお味噌汁のダシなどに利用したい。身近な素材から生命の不思議を学ぼう。
『イラガのマユのなぞ』
石井象二郎/文 偕成社 1989年
イラガのマユの模様はなぜひとつひとつ違うのか。硬いマユからどのようにして成虫が出てくるのか。散歩中の着想をきっかけに始まった著者の独創的な研究は、やがて生物学上の大発見を導くことになる。疑問を解くための方法を考え、実験・観察し、結果を考察していく課程と、研究者の心の動きが書かれており、考えることの楽しさ、好奇心を持ち続けることの大切さが伝わってくる。第10回吉村証子記念「日本科学読物賞」受賞作。
『よわいかみつよいかたち』
かこさとし/文・絵 童心社 1968年
一枚の紙をどうすれば強くすることができるのか? 答えは簡単、折ればよいのだ。だが、折り方に変化をつけると強度が変わる。幼児でも、身近な材料で簡単に実験できるので、子どもと一緒に工夫してみよう。強いかたちを見つけたら、それが建築にどのように使われているかも確認すると、科学が人間の生活に役立っていることを子どもも納得できるだろう。
『卵の実験』
伏見康治・伏見満枝/著 福音館書店 1982年
卵ひとつを素材に様々な観点で実験をしてみる。つぶしてみる、ゆでてみる、まわしてみる、立ててみる。たまごは立たないなどというのは迷信だ。論より証拠。割ったりしなくても、ちゃんと卵は立つのである。卵を酢につけると、殻が溶けて薄膜だけが残ってふにゃふにゃになる。こんなこともみんな、実際に手を動かしてみればわかること。読んだら手を動かしたくなるのも、科学の本の効用のひとつである。この本は効き目十分。