宙を見上げて
私たち人類は、大昔から夜になるときまって星空を見上げてきました。人々はそこに様々な物語を想い描き、多くの星座や星空を彩る神話が生まれました。人々は、夜空の星の動きを観測して、暦を生み出しました。古代文明のいくつかは、非常に正確な暦を持つものがありますが、これは星空や太陽などを長い期間にわたって観測してきた成果として生まれたと考えられています。こうして、人は星とともに暮らしてきました。
科学技術が発展し、ガリレオ・ガリレイによって天体望遠鏡が作られると、天文学は大きな発展を遂げました。火星の運河や土星の輪が初めて観測されたのもこのころです。人々は、望遠鏡を改良して遠くの星を観測し、望遠鏡の大型化が競うように進みました。
現代では、様々な科学技術が天文学の分野にも導入されました。望遠鏡は宇宙へ飛び出し、ハッブル宇宙望遠鏡になりました。日本がハワイ島に作ったすばる望遠鏡は、大口径の望遠鏡が見直されるきっかけになりました。高性能な望遠鏡がアマチュア天文家の手に届くようになると、工夫を凝らした観測で専門家にも負けない実績を残す人も出てきました。
昨年は、日本で金環日食の観測が話題となりました。今年に入ってからは、パンスターズ彗星が話題となり、秋にはアイソン彗星が観測の好機を迎えます。ロシアに落下した隕石も大きく報道されました。また、最近では太陽活動の変動による地球への影響について関心が高まっています。
私たちは都会に暮らしていると自然が縁遠いもののように感じてしまいます。でも、夜空を見上げてみてください。晴れた夜空には星がきらめいています。忙しい日々の中でも、夜空の星を見上げれば、私たちが自然の中で生きていることを強く感じるのではないでしょうか。
今回の展示では、星に関する本を集めてみました。星空を入り口に、未知の宇宙へ想いを馳せてみてください。きっと天文学を身近に感じることができます。