観測の技術 −望遠鏡を中心に−
宇宙のはかり方
縣秀彦 グラフィック社 2011
本書はタイトル通り、宇宙のさまざまな事柄を、あの手この手の方法でスケールダウンして、はかってみせる。例えば大きさの項では、地球をテニスボールサイズとすると、月はビー玉、火星は卓球のボール、木星と土星はバランスボール位、といった具合だ。その他、太陽が1秒間に生み出すエネルギー量の燃料をジェット機に積むと、太陽と地球を6億往復できること、現在の技術力では宇宙船で太陽系の端へ到達するには5000年以上かかること、など、多岐にわたった内容である。改めて宇宙のスケールを感じることができ、著者の言うように、大きなスケールで物を見て、判断するための一助となるかもしれない。
ガリレオ −はじめて「宇宙」を見た男−
ジャン=ピエール・モーリ 創元社 2008
17世紀、当時は玩具にすぎなかった望遠鏡。この道具に大きな可能性を見いだし、のちの天体観察の礎を築いたのがガリレオ・ガリレイである。ガリレオは自ら作り出した望遠鏡を天空に向け、世界ではじめて月の様子や星を観察した。そして、宇宙の中心は地球ではなく太陽であるという地動説を科学的に証明したのである。しかし、聖書を拠り所にし、地球を中心とする天動説が信じられていたその時代、ガリレオの行く道は伝統主義者に遮られることとなる。本書は、抵抗を受けながらも真実を追い続けたガリレオの生涯を豊富な図版とともに綴った一冊である。
望遠鏡以前の天文学 −古代からケプラーまで−
クリストファー・ウォーカー 恒星社厚生閣 2011
私たちが星や月を見るのと同じように、古代の人々も天の動きに気づいていた。時を知り、暦を作り、方位を知って地図が生まれ、天体の中に神を見て、神話を作り、宗教が生まれていった。それは望遠鏡という道具によるものではなく、肉眼での観測に裏付けられたものである。紀元前3000年というはるか昔から、観測された動きはさまざまな形で記録され、さらに技術や学問の進歩があって望遠鏡の発明につながっていく。 天の動きは人に数々のことを教え、考えさせてくれた。それは昔も今も、世界のどこでも変わらない。