1964 〜 あの頃の日本 〜
『写説昭和30年代』
近現代史編纂会/編 ビジネス社 2006年
表紙は1964年東京オリンピックの開会式で、聖火リレーの坂井義則さんが聖火台へ一気に駆け上がる場面を7万人以上の観衆が見つめている様子である。オリンピックが開催された昭和30年代は、新幹線の開通や消費ブームがもたらした高度経済成長など、敗戦後からの復興を見事に遂げた時代と言われている。自国でオリンピック開催はまさに先進国の仲間入りをした結果であろう。本書のこの時代の政治・経済・文化を写真とともに解説している。
『40年前の東京 昭和38年から昭和41年春日昌昭のトウキョウ』
春日昌昭/写真、佐藤嘉尚/文 生活情報センター 2006年
昭和39(1964)年を前後して、東京はオリンピックの開催に伴う近代化が進み、大きく様変わりした。しかしこの本に並んでいる写真たちには、どこか雑然とした街並みやノスタルジックな人々の営みが色濃く残っている。懐かしさと違和感が入り混じったような雰囲気が漂い、ページをめくるたび違う世界に迷い込んでいくような気分になる1冊。
『新幹線の時代』
いのうえ・こーいち/著 竢o版社 2008年
東京〜大阪間を3時間で結ぶ、まさに夢の超特急」と謳われて、1964年10月1日についに開業した東海道新幹線。高度経済成長を象徴する存在として多くの日本人に愛されたが、2008年11月30日の定期営業運転をもって0系新幹線は終了した。表紙の写真に使われているその顔がとても懐かしい。
『昭和の東京地図歩き』
壬生篤/著 廣済堂出版 2013年
昭和39年の東京オリンピックは、人々の気持ちの高まりとともに、東京の町を大きく変えた。本書では、丸の内、新宿、銀座、六本木、渋谷などの町の、昭和30年代と現在の地図と写真の対比により、その変化と変わらずに残されているものがよくわかる。来たる再びのオリンピックが東京の町並みをどう発展させてくれるのか楽しみになる一冊である。
『東京タワーが見た日本』
堺屋太一/編著 日本経済新聞出版社 2008年
1958年開業し、戦後復興の象徴となった東京タワー。東京オリンピック開催や東海道新幹線開通に沸いた高度経済成長期の1960年代、空前のバブル景気、そしてバブル崩壊。円高不況、その後の格差社会といわれる日本を、東京タワーは333メートルの高さから俯瞰してきた。その開業50周年を記念して綴られた、貴重な資料と5人の作家たちによる物語である。
『昭和三十年代の匂い』
岡崎武志/著 筑摩書房(ちくま文庫) 2013年
ニッポンが、敗戦のどん底から完全に立ち直り、豊かな生活を国民が実感しはじめた昭和30年代。本書では、昭和32年生まれの著者が、この頃の原体験を踏まえて、30年代のさまざまな風物を写真を添えて紹介していく。おつりのくる便所の改良版、駄菓子屋の秘密など、昭和39年のオリンピック時代に青春を送った方々には、懐かしくも思い出のあるアイテムがそろい踏みの、“必見”の書。
『平凡パンチの時代』
塩澤幸登/著 茉莉花社 2009年
昭和39年、東京オリンピック開催の年に創刊された日本初の若者雑誌である「平凡パンチ」は、創刊以来25年にわたって、若い男性向け週刊誌の世界を常にリードしてきた。本書は日本の消費社会の黎明期に、この雑誌の編集に関わった人間たちの希望と苦悩と挫折の物語である。