町づくり
日本の町並み250
重要伝統的建造物群保存地区を全て収録
ウエスト・パブリッシング/著 山と渓谷社 2013
昭和50年の文化財保護法の改正に伴い、重要伝統的建造物群保存地区の制度が発足した。平成25年12月27日現在、合計面積約3733ヘクタールにも及ぶ106地区が選定されている。本書では平成24年12月までに選定された102地区のうち、水害のため復旧中の1地区を除く101地区を収録している。全国津々浦々のノスタルジックな風景を楽しみながら、各地の文化や歴史についても触れることができる。ガイド本としても、読み物としてもおすすめしたい。
まちを育てる建築
オランダ・ルームビークの災害復興と住民参加
鄭弼溶/著 鹿島出版会 2014
オランダ東部の都市エンケレーデは、工場の爆発事故によって市街地を焼失し、多くの住民が家を失ってしまう。被災地の復興計画を担当した建築家ペーター・ヒューブナーのチームは、市民団体やサークル利用者、更には小学校に通う子どもたちが参加した町づくりと建築設計のワークショップを行う。住民と建築家と市が協力して取り組んだ復興プロジェクトは、東日本大震災を経験した日本にとっても学ぶ点が多い。ユーザーとともに建築に取り組んできたヒューブナーには、『こどもたちが学校をつくる』という著作もある。
都市ヨコハマをつくる 実践的まちづくり手法
田村明/著 中央公論社 1983
みなとみらい地区の新しい建物のイメージが強いヨコハマだが、明治維新以後、異国情緒の漂う、文明開化の中心地としての栄えた都市でもある。 民から官へ入った著者が、現在の横浜の礎になるまちづくりを主導してきた。歴史を重んじながら、近代化の遺産である建造物の復旧、復元、保全を行う難しさには、戦略的事業や土地利用のコントロールが求められる。一世代前の横浜のまちづくりにあたって、過去を知り、遺し、新しいまちづくりをしていくという記録だが、決して過去の回顧録にとどまらない貴重な一冊である。
オリンピック・シティ東京 1940・1964
片木篤/著 河出書房新社 2010
6年後の東京オリンピック開催に向けて、国立競技場の建て替え計画が進んでいる。他にも選手村の建設や交通網の整備など、これから東京の街は大きな変化を遂げていくだろう。本書では過去2回のオリンピック開催予定地としての東京の都市計画の特徴を論じている。オリンピックについて書かれた本は多数あるが、都市・建築の視点からオリンピックを見る本というのは、珍しい。この本は、2016年のオリンピック招致に失敗したところで終わっている。この時の計画が、2020年招致活動時にはどのように変化したのか掘り下げてみるのもいいかもしれない。
まちを再生する99のアイデア
柴崎恭秀・ソフトユニオン/編著 彰国社 2012
私たちが生活するまちは多くの建築物で成り立っている。しかしながらそれらは名建築ばかりでなく、老朽化や環境悪化などの問題によって、町全体の景観までも壊されていく深刻な状況が進んでいる現状がある。このような厳しい状況の中で、ちょっとしたアイデアから、種がまかれ花が咲くように町全体が再生していくことができたらどう変わるだろうか。この本には、まちづくりの専門家が実践してきた99のアイデアや構想がコンパクトにわかりやすくまとめられている。シャッター商店街から被災地復興まで、役立つアイデアを紹介している。