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家族小説

画像:我が家の問題

我が家の問題

奥田英朗/著 集英社 2011

六つの家族のそれぞれの一瞬を切り取った六つの短編から構成された短編集。妻と少しずつ齟齬を感じて帰宅時間を先延ばしにしようとする新婚の夫。祖母からの電話で母に間違われ、両親の不仲を知った高校生。結婚して、初めてのお盆をどうするか悩む新婚夫婦。やさしい夫との生活に満足していた妻が知った、夫の会社での状況。我が家の問題に気付いたとき、どう悩み、ささやかなでも大事な幸せをどう守っていくのかが描かれています。

画像:楡家の人びと

楡家の人びと

北杜夫/著 新潮文庫 2011

父斎藤茂吉をはじめ、著者の家族をモデルとし、大正から終戦直後までを舞台とした家族小説です。山形から上京して入院患者が300人を超える脳病院を設立。郷土選出の代議士にもなりながら関東大震災で病院は被災。再建途上、昭和に変わる直前に没したエネルギッシュな初代。気位の高い長女と学究肌で影の薄い婿養子の二代目。著者は二十代のころから親類からの聞き書きや当時の新聞の抜書きなどを始め、完成させました。(初出1964年)

画像:明日死ぬかもしれない自分、そしてあなたたち

明日死ぬかもしれない自分、そしてあなたたち

山田詠美/著 幻冬舎文庫 2015

子連れ同士の再婚により一つになった家族は、完璧に幸福な家庭を作り上げました。し かし、ヒーローのような長男が落雷で急死、彼を溺愛していた母親はアルコール依存症になり、残酷な言葉を家族に向けるようになります。年々悪化する母親の病状を見かねて、次女は亡くなった長男の「誕生会」を提案するのでした。 各章が子供たちの目線で描かれており、それぞれの哀しみや痛みが胸に迫ります。家族 の再生を願わずにはいられない、切なく愛しい物語。(初出2013年)

画像:昨夜のカレー、明日のパン

昨夜のカレー、明日のパン

木皿泉/著 河出書房新社 2013

夫の一樹を7年前に亡くしたテツコは、気象予報士のギフ(義父)と二人暮らし。恋人の岩井さんに「そろそろ、結婚しようか」と言われたけれど、「私、本当は家族がキライなの」と断ってしまいます。過去にとらわれたままのテツコが、周囲の人々とともに、夫の死を少しずつ受け入れていく過程を丁寧に描きます。 夫婦のユニットである人気脚本家が綴った連作長編小説集。最終章は映像が目に浮かぶかのように鮮やか。

画像:安閑園の食卓

安閑園の食卓 私の台南物語

辛永清/著 集英社 2010

1930年代の台南に、著者が暮らす屋敷「安閑園」がありました。厳しくも優しい家長である父、優雅な母、そして多くの使用人に守られ過ごした日々が、数々の料理の記憶とともに蘇ります。父の誕生日に食す五目そば「什錦全家福大麺」、燕の毛を取り除くところから始まる燕の巣のデザート「甘燕巣」、飼っている鶏をさばいて作る血液料理「糯米鶏血」…豊かな食卓から伝わる家族の暖かさ、それが思い出となってしまった切なさが胸に迫る名エッセイ。(初出1986年:文藝春秋)

画像:抱擁、あるいはライスに塩を

抱擁、あるいはライスに塩を

江國香織/著 集英社 2010

柳島家では、貿易会社を経営する祖父とロシア人の祖母、父母と叔父叔母、腹違いのきょうだい四人が同居しています。富豪の一家は独特の家風と教育方針を持ち、子どもたちは家で教育を受けていました。学校に通うようになって初めて、自分たち家族の生活が世間とかけ離れていることを知ります。柳島家には、人には言えない秘密があったのです。 悩みながらもそれぞれが己の人生を模索する、三世代100年の物語。

画像:赤朽葉家の伝説

赤朽葉家の伝説

桜庭一樹/著 東京創元社 2006

旧家・赤朽葉家三代にわたる女達を描きます。(第1部)万葉(まんよう)は、山の民に捨てられて拾われ子となりますが、製鉄業で財を成した赤朽葉家に望まれて輿入れし、「千里眼奥様」と呼ばれるようになります。実は万葉は、未来を視ることができたのです。(第2部)万葉の娘・毛(け)毬(まり)は、大変な暴れ馬でレディースの総長になり、引退後は漫画家に転身して傑作を残します。(第3部)万葉の孫・瞳子(とうこ)は、まだ何者にもなっていない若者で、祖母の残した謎を解き明かそうとします。高度経済成長期から現代にいたるまで、一族の姿と時代を鮮やかに映す物語です。

画像:空中庭園

空中庭園

角田光代/著 文藝春秋 2002

東京郊外の団地に暮らす京橋家は「何ごともつつみかくさず、タブーをつくらず、できるだけすべてのことを分かち合おう」というモットーのもとにありながら、実は家族全員が秘密を抱えて生活しています。各章が家族一人ずつの目線で描かれ、母と祖母の固執や父の不倫など、それぞれの秘密が明らかになります。仲の良い明るい家族を、家族全員が演じている様子に、家族とは一体何なのかを考えさせられます。 第3回婦人公論文芸賞受賞作。

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