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物理学賞

王立スウェーデン科学アカデミーが選考を担当。「有益な諸科学の推進」を目的に1739年に創立された学術団体で、高い権威を誇っている。数学や天文学など12のクラスごとに活動しており、「物理学」「化学」「経済学・統計学・社会科学」の3クラスにノーベル委員会が設置され、各5名の委員が最終候補者を選考している。
2017年までに物理学賞は日本出身(外国籍含む)の受賞者は11名。

湯川秀樹

「核力の理論による中間子存在の予測」により1949年受賞



朝永振一郎

「量子電磁力学における基礎的研究、素粒子物理学についての重要な考察」により1965年受賞



画像:プロメテウスの火

プロメテウスの火

朝永振一郎/著 みすず書房 2012

量子電磁力学に「計算を放棄する」という発想を持ち込んだ朝永振一郎の講演録やエッセイ、座談会を収録した1冊。 書名は、プロメテウスが全能の神ゼウスに背いて人間に火を使う知識を授けたというギリシア神話のエピソードによる。朝永は、専門分野である物理学が原子爆弾の開発へ道を開いたことをプロメテウスの火に重ね、科学は人類に繁栄だけではなく災禍をももたらす両義性を持つことに触れている。

江崎玲於奈

「半導体と超伝導体のそれぞれにトンネル効果が起こることの実験による発見」により1973年受賞



小柴昌俊

「宇宙ニュートリノの検出に代表される天体物理学への先駆的な貢献」により2002年受賞



画像:やれば、できる。

やれば、できる。

小柴昌俊 /著 新潮社 2003

小柴昌俊の少年時代は決して恵まれてはいなかった。しかし、恩師や友人から助力を得て学びの場を得ると、その後もたくさんの人々の協力を得て研究を発展させていくことになる。成績が良くないのにアメリカ留学の推薦状にサインをしてくれた朝永振一郎、ロチェスター大の指導教官キャプロン教授、陽子崩壊実験を打診した高エネルギー物理学研究所の菅原寛孝…。ほかにも出会った多くの人への感謝を込めて綴った自伝。大学卒業時の成績表も収録。

南部陽一郎(米国籍)

「素粒子物理学における自発的対称性の破れのメカニズムの発見」により2008年受賞



小林誠・益川敏英

「自然界のクォークが3世代以上存在することを予言する、対称性の破れの起源の発見」により2008年受賞



画像:科学者は戦争で何をしたか

科学者は戦争で何をしたか

益川敏英/著 集英社 2015

ノーベル賞に輝き人類の発展に貢献した科学技術が、戦時下においては国家に軍事利用されてきたのも事実である。第二次世界大戦での日本への原爆投下や1952年のビキニ環礁での水爆実験後、世界中の多くの科学者が、核戦争が地球に及ぼす甚大な被害を憂慮して核廃絶を訴える活動を始めた。
太平洋戦争を幼いころに体験した益川氏。軍学協同が進む社会や憲法9条を改正しようとする政治に反対し、科学が平和利用にのみ利用されることを彼は強く訴えている。

赤崎勇・天野浩・中村修二(米国籍)

「高輝度で省電力の白色光源を実現可能にした青色発光ダイオードの発明」により2014年受賞



画像:青い光に魅せられて

青い光に魅せられて

赤ア勇/著 日本経済新聞出版社 2013

青色発光ダイオードの発明で、2014年にノーベル物理学賞を受賞した赤ア勇の自伝。受賞以前に書かれた本書では、戦争を体験した中学生時代、憧れていた京都での大学生活、研究環境の厳しさから「我ひとり荒野を行く」とつぶやいた松下電器東京研究所での日々など、生い立ちから現在までの歩みが丁寧にまとめられている。幾多の困難に立ち向かう彼の姿は、未来を担う若者たちに「あきらめなければ道は開ける」という勇気を与えるだろう。

梶田隆章

「素粒子ニュートリノが質量を持つことを示すニュートリノ振動の発見」により2015年受賞



画像:ニュートリノ 小さな大発見

ニュートリノ 小さな大発見

梶田隆章/著 朝日新聞科学医療部/著 朝日新聞出版 2016

神岡鉱山に建設された巨大水槽カミオカンデ。目的である陽子崩壊現象がなかなか観測できずにいた中、梶田氏はノイズであるミューニュートリノの数が予測値よりもかなり下回っていることに気づく。「ニュートリノには質量がない」という標準理論を覆す発見か? 10倍以上の規模であるスーパーカミオカンデにより得られるデータの蓄積が、彼の発見を決定づけてゆく。巨大な光電子増倍管の製作、大空間の掘削工事、超純水システムなど企業の協力体制も興味深い。

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