南アメリカには多くの国がありますが、話されている言語は様々です。スペイン語やポルトガル語、フランス語など、言語はそのまま支配の歴史と結びついています。彼らにとっての文学とは、主張やアイデンティティを伴うものでもあります。
他の地域より馴染みが薄く、読む機会がなかったかもしれませんが、1960年代には全世界でブームになったほどの実力を秘めています。この機会にぜひ手に取ってみてください。
カモメに飛ぶことを教えた猫
ルイス・セプルベダ/著 河野万里子/訳 白水社 2019年
港町の誇り高き猫、ゼルバは、ある日死にかけたカモメに出会います。ゼルバの優しさを信じたカモメは、最後の力を振り絞って卵をひとつ産み、ひなに「飛ぶこと」を教えてやってほしいと頼みました。死にゆくカモメの願いを聞き入れたゼルバ。猫に二言はありません。時に他の動物や仲間の猫と衝突しながらも、自らを「ママ」と呼ぶ可愛いひなを守り育てます。やがてひなは美しいカモメになり、空への憧れを抱くようになりました。
百年の孤独
ガブリエル・ガルシア=マルケス/著 鼓直/訳 新潮社 2006年
平易な解説は不可能です。ジャンル『百年の孤独』とでも言うべき、南米の架空都市を舞台とした、ある一族が村を創設し、やがて滅亡するまでの百年を綴った物語。壮大で濃密な空気の中、それが日常かのように次々と事件が起きていきます。親戚を名乗る少女の移住によって村に感染性の不眠症が蔓延しますが、それだけでひとつの物語になりそうな出来事ですら、一瞬で過ぎ去るエピソードでしかありません。暑くて長い日のお供に長い長い物語をぜひどうぞ。
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