オリンピズムとは何か、実現のために何が必要か考えます。
『東京オリンピック 「問題」の核心は何か』
小川勝/著 集英社 2016年
東京2020オリンピック・パラリンピックに向けて2015年に基本方針を閣議決定した日本。この方針には日本が過去最高の金メダル数を獲得するよう選手の強化を進めること、先進的な取り組みを行っていることを世界に示し、強い経済の実現につなげることなどが書かれている。本書では、本来開催都市は五輪から恩恵を受ける側ではないことを説き、オリンピック憲章の理念に立ち返りながら、オリンピックの意義を問い直す。
『IOC オリンピックを動かす巨大組織』
猪谷千春/著 新潮社 2013年
国際オリンピック委員会、IOC。名称は知っていても、実際にどんな組織か知る人は少ないのではないだろうか。冬季五輪メダリストでもある著者は、約30年間IOC委員を務めた。本書では開催地決定の経緯や、総会の様子などを紹介するほか、1980年代からのオリンピックの巨大化、商業化についての、当時のサマランチ会長の功罪を含めた分析が興味深い。
『オリンピックは平和の祭典』
舛本直文/著 大修館書店 2019年
オリンピックでは平和と友好を表す感動的なシーンが生まれることがある。時には国を超えた友情の証として、時には厳しい国際情勢下にある人々の希望の象徴として。オリンピズムの究極の目標である“平和運動”の歴史をたどりながら、メダル至上主義や競技中心の一面的な見方ではない、オリンピック本来の「平和の祭典」の姿に立ち返る。
『パラリンピックを学ぶ』
平田竹男・河合純一・荒井秀樹/編 早稲田大学出版部 2016年
「パラリンピック概論」という学生向けの講座をまとめた本である。パラリンピックの基礎知識を学び、障がいの種類やバリアについて理解を深め、共生社会について考えてゆく。水泳や車椅子バスケットボール、チェアスキー等の選手達の手記や対談から、パラリンピックの魅力や凄さを肌で感じることができ、観戦の楽しみ方も教えてくれる1冊。
『オリンピックと万博−巨大イベントのデザイン史』
暮沢剛巳/著 筑摩書房 2018年
走者がスタートを切る躍動的なポスター、シンプルな日の丸デザインが印象的なシンボルマークは、1964年東京オリンピックのデザインポリシーのもと、亀倉雄作により手掛けられ、オリンピックの社会的ミッションを実現する役割を十分に担った。しかし、大阪万博では統率力やデザインの一貫性を引き継げず、万博のデザインは二転三転し混乱を極めることとなった。2つの国家プロジェクトを振り返り、東京2020オリンピックのデザインについて問題を投げかける。