過去の大会でメダルを獲得したアスリートたちに迫ります。
『日本の金メダリスト 142の物語』
別冊宝島編集部/編 宝島社 2020年
2016年のリオデジャネイロまでに、夏季オリンピックで日本が獲得した142個の金メダルとそれにまつわる物語を見開きで簡潔に紹介した1冊。1928年アムステルダム、日本人初の金メダリスト織田幹雄氏の項では、表彰用の国旗の準備がなく、4倍ほどの大きさの入場行進用国旗を使ったこと、1936年ベルリンに出場した前畑秀子氏の項では、温水プールのない時代に、冬でも屋外で練習していたことなど、今では驚きのエピソードが綴られている。
『円谷幸吉 命の手紙』
松下茂典/著 文藝春秋 2019年
東京オリンピック男子マラソンで日本陸上唯一の銅メダルに輝き、一躍国民的英雄となった円谷幸吉は、3年後、自ら命を絶った。まじめで几帳面な一方、天性の明るさを持った彼の死は、日本中に衝撃を与えた。オリンピックの重圧、度重なる故障、伸びない記録、婚約破談と謎の女性の存在。理由について、真相は謎のままだが、近年発見された数十通を含めた200通以上の手紙と、関係者への取材により、幸吉の内面に迫る。
『なぜ日本の女子レスリングは強くなったのか』
布施鋼治/著 双葉社 2017年
2012年ロンドンオリンピック。レスリング女子55キロ級の吉田沙保里が決勝を制し、日の丸をなびかせながら笑顔で疾走する名シーンを思い出す。このとき吉田は、伊調馨とともに日本女子初の五輪3連覇を果たした。本書では、女子レスリングの歴史とともに、日本を牽引してきた吉田と、戦い方も性格も異なる伊調、二人の軌跡を振り返る。
『伊藤みどり トリプルアクセルの先へ』
野口美惠/著 主婦の友社 2012年
「陸の上を歩くより、氷の上を滑る方が楽だった」という伝説のスケーター伊藤みどり。1989年世界選手権で女子初のトリプルアクセルを成功させ、1992年アルベールビルオリンピックでは銀メダルを獲得するなど数々の栄光を築いた。22歳で引退後の葛藤や苦闘、アイスショーや解説者としての活躍や41歳での公式戦の復帰を描くドキュメント。アスリートが抱えるメダル獲得への重圧や、セカンドキャリアを築いていくことの難しさを垣間見ることができる。
『フライングガールズ 高梨沙羅と女子ジャンプの挑戦』
松原孝臣/著 文藝春秋 2013年
2014年ソチオリンピックより、女子・ノーマルヒルが正式種目に加えられた!女子ジャンプのパイオニア、山田いずみ選手が初めてノーマルヒルの公式大会で飛んだ1992年。2011年に彗星のごとく現れた高梨沙羅選手。ソチに至るまでの困難をくぐり抜けてきた選手たちの奮闘を、「Sports Graphic Number」の掲載記事や取材をもとにまとめられた1冊。ソチ、平昌オリンピックでの結果がわかっている今だからこそ、日本女子ジャンプの軌跡をたどってみたい。