木・水・石を用いて調和を大切に美しく組み合わせ、やすらぎの空間を生み出す日本の庭園。その魅力が歴史の変遷とともに、様々な技法と合わせてわかりやすく書かれています。また、日本の名園三十六景で紹介されている庭園は、造形の技術だけではなく、歴史や人々の心のありようまでも表現されており、それを知ることで楽しみ方も変わります。長年、造園や景観を含めた環境政策に携わってきた著者による、日本庭園の入門書です。
「作庭」とは、庭をある構想を持ってこしらえるという意味です。その作庭について書かれた、現存する日本最古の庭園書である「作庭記」。著者、正式な書名ともに不明な、平安時代から伝わる秘伝書で、庭園の作成方法などが詳細に記されています。原文と現代語訳の記載があり、また平安時代の庭園として伝わる「毛越寺庭園」などの写真や挿絵が掲載され、当時の雰囲気を感じ取ることができます。
大名庭園は、明暦の大火後、藩主が江戸に複数の屋敷地を与えられてから広まり、幕府安定とともに多くの名園が誕生しました。大名庭園は体験して楽しむ庭園であると著者は言います。本書では、現存する小石川後楽園、六義園、浜離宮などを中心に、当時どのように楽しまれてきたか、どのような役割を担ってきたかを明らかにしていきます。広々とした庭園でただ自然を眺めるのも良いですが、饗宴の場であった新たな姿を見てみませんか?
本来、庭とは「見る」だけでなく「使う」ためのものであるとする、行政の立場で文化財保護に携わってきた著者ならではの視点から、日本の庭や住まいに対する新しい見方を教えてくれる一冊です。この本では、平安時代から千年以上続く庭の歴史などを整理し、各時代の人々が庭をどのように扱ってきたのかを解説しています。平安時代の寝殿造住宅の庭と現代の小学校の校庭を比較しているのも、わかりやすく興味深いです。
世界の様々な庭園の中でも、日本のように「苔」を景観の一部として使う庭文化は珍しいといいます。「苔」と聞くと、以前はシニア層中心の「渋い趣味の世界」という印象がありましたが、今では老若男女問わずその魅力が広がり、楽しむ人が増えています。京都だけに限らない全国の苔庭の案内とともに、ふわふわのヒノキゴケや透明感のあるコツボゴケなど約40種類もの苔の解説など、カラー写真が豊富で眺めるだけでも楽しくなります。
日本庭園に興味を持つきっかけは人それぞれではありますが、まずは四季折々の植物、自然を目当てに訪れる人が多いのではないでしょうか。庭園のどこに注目すればより観賞を楽しむことができるか、そのコツやポイントを庭づくりのプロである庭師が解説しています。庭園の様式や歴史などの基礎知識から作庭方法までの詳しい説明があり、観光名所として雰囲気だけを味わう人も多いであろう日本庭園の見方を変えてくれます。
なぜ東京には大きな公園が多いのでしょうか。大阪から東京へ移り住んだ著者は、そのことに驚きます。明治維新後、故郷に戻った諸大名の武家屋敷の処分問題が発生する中、近代化と西欧化を目指した首都・東京。本書では、首都をつくりあげる中で作られてきた公園から、紆余曲折があった日比谷公園、勧農政策から始まった新宿御苑、そして明治神宮の誕生の歴史をたどります。わかりやすい文章で、身近な公園の由来を知ることができます。