バビロンの空中庭園、タージ・マハル、ヴィランドリー城、拙政園など、世界21ヵ国55の庭園の歴史や見方について、写真・イラスト付きでまとめられています。また、各国の風土に根ざした庭園様式の特徴、植生・地質・水景の違い、所在地とその周辺の街や自然、主要なアクセス方法も載っています。庭園を学ぶ第一歩としてはもちろん、旅のお供としても活躍する一冊です。時代や国境を飛び越えて、世界の名園を巡る旅に出てみませんか。
フランスの政界で働いていた著者が情熱を注いだ、世界各国の「庭」についてまとめた一冊です。「天と地の絆」を重要視し高台などに築かれたペルシアの庭、快楽を好み「至福の象徴」として美しく作られたアラブの庭、科学の発展により庭の価値観が変わったイタリアの庭など、歴訪した様々な国の庭を、文化や精神と結びつけながら考察しています。著者は中国と日本は訪れることが無かったものの、文献を用いて解説しています。
ヴェルサイユは、ルイ14世の庭師ル・ノートルが設計した、左右対称で大水路や多くの噴水などが特徴の、フランスを代表する庭園です。本書は、庭師として30年以上、庭園内で暮らす著者が、マリー=アントワネットの楢の木、ルイ14世のイングランド女王への庭案内、庭園の下にある秘密の地下道、歴代庭師の知恵、1999年の暴風雨の大被害など、彼しか知りえない庭園の逸話を物語のように語る一冊です。
イギリスを庭園の先進国たらしめた、「風景式庭園」という手法があります。人工的・規則的・幾何学的な「整形式庭園」に対をなす存在で、周囲の自然に開かれており、その美を巧みに示すことを特徴とするこの手法は大流行となりました。その誕生の過程には、技術論に収まらない、人々の庭園への様々な言説がありました。「開かれた庭」に対する思想を紐解くことで、美しい風景の深淵を覗き込むことができるかもしれません。
西洋庭園、イスラム庭園には見られない中国庭園の特徴を、写真と図版を多用し解説します。同じ東洋庭園である日本の庭とも異なる、奇岩や奇山の目立つ力強い中国の庭は、静寂な雰囲気のある日本の庭とかけ離れたものですが、室町時代の日本の禅宗庭園は、中国のものとほぼ同じであったと考えられています。歴史的な変遷や、各地の代表的な庭園の見どころなども紹介されていて、中国庭園の理解に役だつ本です。
イスラーム庭園は、チャハール・バーグという、中心で交差する十字の園路で四分割された形式が代表的です。タージ・マハルなど現存する庭園には目を奪われますが、時を経て植物等は変化し、元々の姿ではありません。本書では、単なる美しさから一歩進んだ、歴史・考古学者の研究について、詳しく知ることができます。平面図等の図版も豊富で、インドを中心とした各国の庭園の解説からは、造園当時の風景が鮮やかに思い浮かびます。