はじめに
古今東西、人間の知的活動に本は欠かせません。
はるか昔、紀元前から人類は本を作っていましたが、その頃の本は貴重品で、学者や聖職者、あるいは裕福な人などしか手にすることはできませんでした。15世紀に活版印刷が発明されると、本が安く、手軽に入手できるようになり、それにつれて知識や思想が、庶民に広がっていきました。
活版印刷の発明から500年たった今、本は新たな進化の時を迎えています。デジタル化が進み、2021年の電子出版は出版市場全体の27.8%(*)を占めており、この傾向は今後も加速していくと考えられます。ただ形式が変わったとしても、本がこれからも人類の発展とともにあり続けることは間違いないでしょう。
読書というのは一般的に極めて個人的な行為ですが、書評を読んだり読書会に参加したりすることで、他者と感想を共有したり、内容について議論を深めたりするなど、コミュニケーションの手段にもなりえます。
人類の英知の結晶である「本」、そして本から少しばかりの知識を分けてもらうだけではない「読書」という営み。今回の展示ではこれらについて、本の森である図書館の蔵書からご紹介します。どうぞ本の世界をご堪能ください。
(*)『出版指標年報2022』より