19世紀ドイツの哲学者による読書論の名著。「一日を多読に費やす勤勉な人間は、しだいに自分でものを考える力を失ってゆく」「読み終えたことをいっさい忘れまいと思うのは、食べたものをいっさい、体内にとどめたいと願うようなものである」など、著者ならではの皮肉たっぷりで辛辣な表現に、妙に納得してしまう。古典ながら、平易な言葉で読みやすい。読書好き必読の書。
批評家、随筆家、詩人でもある著者による、読書をめぐるエッセイ集。「人生を変える一冊は確かに存在する」と語る著者が、好奇心からの読書を探究心からの読書に変化させていく過程を記録している。柳宗悦著『民藝四十年』、遠藤周作著『影に対して』など著者が深く感銘を受けた名著を引用して、真摯に言葉を紡ぎ、よりよく生きるヒントを与えてくれる。巻末にブックリストつき。
著者が装丁を手掛けた本の中の印象深い数行を抜き出し、その本の魅力を語った書評集。『週刊金曜日』連載の100冊を紹介しており、作家や落語家、学者や漫画家など多種多様な経歴を持つ作者の本がずらりと並んでいる。最初から読んでも、気になるところから読み始めてもよい気軽さと、エッセイのような面白さがある本。装丁(図版)も掲載されており、見比べるのも楽しみの一つである。
子どものころから本好きだった著者は、8歳のクリスマスにもらった本「棘のないサボテン」をきっかけに、生命科学に興味を持ち研究者となる。結婚や子育てを経験した後、大手研究所の研究員を務めるが、やがて原因不明の病に見舞われ研究の道を断念。文筆活動を続けながら30年に渡る闘病生活を送る中、生きがいとは、神とは、死とは何か…その答えを求め様々な本と出会う。巻末に書誌データ一覧あり。
多数のヒット作を生み出した著者による、読書エッセイ・書評のまとめ。小説をはじめとして、幅広いジャンルの本を、著者が本当に面白いと思った本、好きな本に限って紹介している。軽やかなタッチの文章で、あまり手に取ったことのない本でも読みたいと思わせてくれる。いつもと違う本が読みたいときのブックリストとしてもおすすめの一冊。
文庫本の巻末には「解説」が収録されていることが多い。この本は、作家の角田光代氏がこれまでに書いた、感想文ともいえる解説や書評をまとめたものである。解説といっても、読者はその通りに解釈をしなければいけない訳ではない。筆者曰く、「本の読み方に正解はない」。読んだことのある本の感想の違いを楽しむもよし、読んだことのない本を探す案内にするもよし。どんな本が載っているか、目次を眺めるだけでも楽しい。
衰える体力、薄れる記憶、かすむ視力、上がらない肩……。中年の入口を前にして、人は大きく戸惑うもの。そんな時、「中年の先輩」はどう乗り越えたのか。本書は小説から実用書まで、様々な分野で「中年の先輩」が書き残した本を参考に、著者自らが迎えた中年期を手探りで楽しむ様子が綴られる。誰にでも訪れるその時に備える、中年初心者のためのブックガイド。まだ先だと思っている方もぜひ参考にどうぞ。
編集者である著者が、雑貨店や酒店などの店主、料理家、カメラマンなど、著者とゆかりのある方々19組の本棚をひたすら訪ね歩き、まとめた一冊。取材にあたり、本棚の整理をしないでください、読書のおともになるおやつや飲み物を教えてください、とお願いしたそう。著者が2年間の取材の末、実感したのは「本棚には人生と人柄が詰まっている」。