「どうかみなさんも、植物に親しんでください。
 そして少しでも多くの知識を身につけてください。
 それが一生を通じ、どれほど人生を豊かにするか
 分かってもらえると思います。」 ※
 これは、日本の植物分類学の基礎を築いた、牧野富太郎の言葉です。植物の採集、分類、命名に生涯をかけ、『日本植物志図篇』など精緻なイラストが特徴的な植物図鑑を刊行したことでも有名です。
 植物は、人類が誕生するはるか前、およそ30億年前には出現していたといわれています。特に日本は古来より豊かな自然に恵まれ、春夏秋冬、人々は美しい草花や木々を愛でるとともに、衣食住のすべてに植物を利用し、我々の生活が成り立ってきました。麻や木綿を着物にする、薬効のある植物を食べる、建具や道具に木や竹を使う――。
 前述の牧野の言葉は、植物を身近に感じること、興味を持つこと、よく知ることは日本人が生きていく中で持ち得る「豊かさ」につながるのだと感じさせます。
 今回は、日本人の生活にはなくてはならない「植物」と人との関わりの重要性に着目しました。そもそも植物とはどのような生物なのか、植物を活用するための戦略や歴史、そして、植物を愛して止まなかった人たちの3つをテーマに資料を紹介します。この展示を通して、人が植物とともにあることの意味を再認識していただけたら幸いです。
※「牧野富太郎植物記2野の花2」「牧野富太郎博士のことば」より
2023年3月 蔵書構成検討委員会 自然科学分野
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