博物学の巨人 南方熊楠
明治という新しい時代の幕開けと共に生まれた南方熊楠は、枠にとらわれない学問を究めた学者です。幼い頃より学問への志が人一倍強く、イギリスの大英博物館での研究活動、帰国後の日本での菌類・粘菌類の採集と研究、神社合祀反対運動、柳田国男ら民俗学者との交流等、生物学、宗教学、民俗学、人類学と、その研究活動は一言では語り尽くせるものではありません。
その一方で、奔放な生き方と行動から「奇人」と評されていたこともあり、学者としての評価は決して高いものではありませんでしたが、近代日本の変わりゆく時代の中で、何者にも振り回されず、自らの学問を貫き通したとして稀有な存在と言えるでしょう。
今回の展示では、彼の生誕140周年に当たる年として、南方熊楠の民俗学者としての功績を中心に取り上げます。学ぶという姿勢に終生挑み続け、曲げることのない信条を持った熊楠を、とらえどころのない不可解な学者としてではなく、彼の、学問に対する激しい情熱を感じていただきたいと思います。