松本清張 追究と推理
「やりたいことが無数にあるのに残された時間がない―。」
これは、『点と線』『ゼロの焦点』『砂の器』『昭和史発掘』『日本の黒い霧』など、数々のベストセラーを生み出した松本清張の口癖でした。
貧しい生活のため小学校卒業後からすぐに働き始め、作家になるつもりはなかったという清張ですが、1950年、41歳の時、雑誌の懸賞に応募するために書いた小説『西郷札』が入選し、作家としての道を歩み始めます。42歳で書いた『或る「小倉日記」伝』は第28回芥川賞を受賞しました。勤務先の新聞社を退社し、執筆に専念し始めたのは47歳の時でした。
作家としての出発が遅かったものの、その後は溢れる好奇心を原動力として、推理小説、時代小説、歴史小説、評伝、ノンフィクション等、次々と作品を発表、その数は長編、短編合わせておよそ1,000篇にものぼります。惜しくも1992年年に82歳でその生涯を閉じましたが、亡くなる直前まで執筆を続けました。
昭和と共に生きた国民的作家・松本清張。2009年12月21日、生誕100年を迎えます。平成となった現在でも読み続けられている理由と、その作品の魅力に迫ります。