明治41年、朝日新聞社主催で行われた世界一周の旅は、民間企業 が主催するパックツアーとしては日本で初めてのことでした。 旅費は現在の価格で1千万円以上、日程は横浜を出てハワイ〜 アメリカ大陸〜ヨーロッパを巡る95泊96日と長期にわたり、 新聞で報道されるほどでした。56名の参加者は、各国で食事を 楽しみ、観光名所を訪れるなど、現代と同じように観光を満喫 していたことがわかります。
観光という行為は、土地を訪れ注意深く見て、家に帰ってから 検証し、自己を再発見する、という循環する螺旋のような行為 と捉えることが出来ます。この行為は、トレーニングにより 精度を高めることが可能で、本書ではそのための「観る方法」 を紹介しています。「これは何を伝えようとしているか?」 「自分はそれをどう見ているか?」普段暮らす場所でさえも、 訓練次第で発見に満ちた観光の場となるかもしれません。
新型コロナウイルスの感染拡大により、莫大な損害を受けた 観光業。コロナ禍を経て、観光業再生への鍵はどこにあるのか、 朝日新聞の記者が地方を中心に取材します。付加価値を高め 集客を募るための新しいサービスや、観光資源強化への取り組み など、現場の声を丹念に拾っています。また、近年問題となって いるオーバーツーリズムへの対策の糸口やIR構想などにも 触れ、これからの日本に必要な観光業の在り方について考察 されています 。
旅行パンフレットを見ると気持ちが浮き立つものです。 パッケージツアーでは、旅の専門家が私たちを感動させたいと 創意工夫を凝らしたプランを、お得に楽しむことができます。 20年間旅行会社に勤めた著者が、パッケージツアーの起源と 果たしてきた役割を、かつて発売されていた「ソウルと香港・ マカオ・台北7日間」ツアーなどを紹介しつつ明らかにします。 コロナ禍の旅行業界の苦境にも触れており、 観光の未来について考えさせられます。